呼気一酸化窒素(FeNO)は小児気管支喘息の診断に有用か: メタアナリシス

呼気一酸化窒素はすでに保険適応です。

■ 呼気一酸化窒素(FeNO)は、本邦ではすでに保険適応が下りており、一部の医療機関では測定されています。

■ 小児に関して、わが国でも「呼気NO測定ハンドブック」がフリーで使用できますが、まだ診断としてのメタアナリシスは不十分でした。

 
P: PubMed, Cochrane Library, EMBASE, MEDION, Web of Scienceを検索して 呼気一酸化窒素(FeNO)の喘息診断精度に関し研究した8研究 2933名

E: -

C: -

O: 喘息小児に対する呼気一酸化窒素(FeNO)診断に有用か

 

Tang S, et al., Fractional Exhaled Nitric Oxide for the Diagnosis of Childhood Asthma: a Systematic Review and Meta-analysis. Clin Rev Allergy Immunol 2016.[Epub ahead of print]

小児気管支喘息と呼気一酸化窒素(FeNO)のの診断精度を検討した8件の報告を調査した。

■ Prospective研究は3件、Retrospective研究は5件であり、主な診断手段として、感度、特異度、診断オッズ比(DOR)とsummaryROC下面積(SROC)に対して二変量モデルを使用した。

■ 小児喘息の診断のための感度、特異度、DOR推定値は、0.79[95%信頼区間(CI)、0.64-0.89]、0.81(95%CI、0.66-0.90)、16.52(95%CI、7.64-35.71)であり、SROCは、0.87(95%CI、0.84-0.90)だった。

■ サブグループ分析において、コルチコステロイド使用、ステロイド使用なし、禁煙、喫煙、慢性咳嗽、アレルギー性鼻炎患者に対するDORは、それぞれ4.47(95%CI、3.39-5.90)、21.40(95%CI、15.38-29.76)、19.84(95%CI、15.63-25.19)、5.41(95%CI、2.97-9.86)、35.36(95%CI、23.90-52.29)、2.99(95%CI、0.85-10.45)だった。

 

 

呼気一酸化窒素は小児気管支喘息の診断に有用。

■ FeNOは小児気管支喘息の診断に中等度の有用性があるとまとめることができます。

■ 成人でも、FeNOのシステマティックレビューが報告されており、やはり有用であるとされています。

呼気一酸化窒素(FeNO)は、喘息の診断に有用か?:システマティックレビュー

■ 特に慢性咳嗽患者、ステロイドを使用していない患者、喫煙しない患者(ん?小児では?)で、FeNOは比較的良好な検査精度があることが明らかになったといえます。

■ 喘息診断におけるFeNOの有用性に関するメタアナリシスは、成人に関しては行われていましたが(J Asthma 53(4):404–412)、小児に対してのみでは行われていなかったそうです。

■ 最近、FeNOに関する優れたレビューが発表されたので、このブログでもご紹介いたしました。

【全訳】呼気一酸化窒素(FENO)を喘息診療にどう生かすか?(第1回/全2回)

【全訳】呼気一酸化窒素(FENO)を喘息診療にどう生かすか?(第2回/全2回)

 

* 2017/9/26 一部加筆しました。

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