入浴後の方がステロイド外用薬の効果が上がる?

シャワーや入浴後に皮膚が潤っているうちに外用したほうがいいのか?

■ アトピー性皮膚炎のステロイド外用薬塗布前の入浴は一般に推奨されます。入浴の有無での治療効果を確認したランダム化比較試験です。

 

PECO
P: アトピー性皮膚炎患者45名
E: 2回のステロイド外用薬塗布の内、1回を熱くない湯に10分間つかった後に、ステロイド外用塗布 22例 
C: 入浴していない皮膚に同様に外用を1日1回塗布 23例
O: プライマリアウトカム 14日後のEASIスコアによるアトピー性皮膚炎重症度
 セカンダリアウトカム 疾患への負担、そう痒・睡眠の評価、朝のコルチゾールレベル

 

結果

■ ステロイド外用薬は、2歳以上にはトリアムシノロンアセトニド0.1%(本邦での商品名レダコート)外用1日2回塗布、2歳未満はヒドロコルチゾン2.5%外用1日2回塗布(顔は年齢に関係なくヒドロコルチゾン2.5%)が指示された。

■ EASIスコアは、浸軟させた皮膚へのステロイド外用薬塗布は84.8%(95%信頼区間77.5-92.1)、乾燥皮膚にステロイド外用薬塗布は81.4%(95%信頼区間70.3-92.4)改善であり、2群に有意差は認められなかった(P= .85)

■ 45名中10名のコルチゾールレベルを検査し、9名は正常であり、対照群1名が4.75g/dl(正常下限5g/dl)だった。介入群3人、対照群5人で毛包炎を発症したが、皮膚萎縮や視床下部脳下垂体‐副腎系の抑制を発症しなかった。

 

ステロイド外用前に湿潤させても効果は変わらない。

■ ステロイド外用前の入浴には、効果に有意差が認められなかったとまとめられます。

■ ただし、この研究は入浴による皮膚の浸軟(柔らかくなること)によるステロイド外用薬の差をみた研究であるため、アトピー性皮膚炎に対してシャワーや入浴そのものの効果を見ているわけではないことに注意が必要です。

■ ましてや本邦の夏場のように、高温多湿の時期にシャワーなしでは汗疹(あせも)がでる児が頻発します。

■ ですので、このまま直接治療に生かすかどうかは議論があるでしょう。ただ、少なくとも、皮膚を浸軟してもステロイド外用の副作用に差がなかったことはいえるでしょう。

 

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