1歳までの抗生剤使用は食物アレルギー発症を増やすかもしれない: 症例対照研究

2017年6月1日

■ 抗生物質濫用の影響は、耐性菌の問題のみにとどまりません。

■ 今回は、抗生物質の使用が、食物アレルギーの発症リスクに関連するという報告です。

 

P: 2007-2009年出生のサウスカロライナにおけるメディケイドの診療データから抽出された、生後12か月までに抗生剤処方された児

E: 2010年に食物アレルギー(ICD-9-CMコード)を原因としたクリニック受診または入院をした児 1504例

C: 出生年月、性、人種や民族的背景でマッチされた対照5995例

O: 抗生剤処方は、食物アレルギーの発症に影響するか

 

結果

■ 皮膚炎655人が食物アレルギーと関連した診断名が挙げられていた。その他、アレルギー性胃腸炎・腸炎130人、アナフィラキシー87人、他の詳細不明のアレルギー50人と診断されていた。

■ 食物アレルギーの原因として、牛乳99人、鶏卵77人、ピーナッツ70人、シーフード29人に対する食物アレルギーが報告されたが、大多数の例では食物アレルゲンは特定されていなかった。

抗生物質の内訳は、ペニシリン(38.2%)、セファロスポリン(15.1%)、マクロライド(13.1%)、スルホンアミド(5.4%)だった。

■ 抗生処方歴のない小児と比較して、抗生剤処方をうけた場合の食物アレルギー診断の調整オッズ比は使用に比例して増加した。

■ 喘息、喘鳴またはアトピー性皮膚炎で調整された食物アレルギー発症リスクは、5シリーズ以上の抗生処方を受けた児では対照と比較し、調整オッズ比(aOR) 1.64 (95%CI 1.31-2.05)だった。

■ 最も強い関連は、セファロスポリンとスルホンアミド系抗生物質の処方歴がある児で示唆された。

 

1歳までに抗生物質を投与されると、食物アレルギー発症リスクが高いかもしれない。

生後12か月までの抗生剤投与は、その後の食物アレルギー発症に関連する可能性が上がるとまとめられます。

■ 特に、セファロスポリンは本邦でよく処方されている抗生物質の一つであり、やはり十分吟味して処方すべきでしょう。

■ 以前、乳児期の抗生剤投与がその後のアトピー性皮膚炎発症リスクになるというシステマティックレビューをご紹介いたしましたが、今回は食物アレルギーに関与するという報告でした。

■ 私は、もともと抗生物質を処方せずすむようにお話しをすることが多く、抗生剤を処方する場合もセファロスポリン系抗生物質を処方する率は低く、多くはペニシリンかマクロライドまでで収められるように努めています(もちろん、社会的背景やセッティングにもよると思います)。

■ 現実的に、self-limited(自然治癒の見込める)気道感染症に対する抗生剤治療は、7000名に投与して一人程度の効果に留まるいう報告も最近ご紹介しました。

■ これは乳児を対象としたものではありませんので、感染が重篤化しやすい乳児では必ずしも同列には扱えませんが、やはり広域抗生物質は十分考えて処方するように自戒するべきかと思いました。

■ なお、ご存知かと思いますがメディケイドは、米国の公的保険制度の一つです。どちらかといえば、低所得者向けのものです。