乳児期の脂漏性湿疹は、アトピー性皮膚炎発症と関連があるか?: 後ろ向きコホート研究

2017年6月8日

脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎に関連はあるか?

■ 1か月健診では特に、脂漏性湿疹の児をよく見かけます。

■ 脂漏性湿疹はアトピー性皮膚炎ではないと教育されてきましたが、どうも脂漏性湿疹の児はその後アトピー性皮膚炎を発症している印象がありました。

■ そこで文献を検索したところ、実際にその二つの病態は同じ、もしくは関連があるという話があるという研究結果を見つけました。

P: 脂漏性湿疹(nfantile seborrheic dermatitis; ISD)診断時に平均3.1ヵ月の児 87人(男児50人、女児 37人)。

E: –

C: 同地域でのアトピー性皮膚炎発症率

O: ISD発症者はアトピー性皮膚炎を発症しやすいか

 

結果

脂漏性湿疹(ISD)が出現している箇所は87例中78例が頭皮と顔面であり、体幹と四肢はあまりみられなかった(87例中9例)

■ 全例で、紅斑と落屑は軽度から中等度だった。

■ ISDの診断後5年間で、これらの児のうち30人はアトピー性皮膚炎(AD)を発症した(英国のAD診断基準に基づく)。

■ そのうち23人は、ISD発症からの平均6.4ヵ月でADと診断され、7人はISD診断時にすでにADの臨床像を呈していた。

■ それ以外の19人は、他の慢性皮膚疾患を呈することもなく経過し、6ヵ月以内に軽快した。

■ ただし、38人は、ISD診断の後、追跡されていなかった(ADを発症したかどうか不明)。

■ しかし、追跡できなかった38人全員が改善したと仮定しても、ISD例におけるADの発症率(34.4%)は、アテネにおける先行研究で示される一般集団でのアトピー性皮膚炎有症率10.7%より有意に高かった(p < 0.001)

 

さらに研究を要しそうだが、脂漏性湿疹をみたら気を付けたほうがよさそうだ。

乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎には強い関連があるか、もしくは同じ臨床病態である可能性がある、とまとめられます。

■ 健診で脂漏性湿疹の児を見かけたときは、スキンケア指導を十分するように心がけてはいますが、これからも念頭に置いておこうと思います。

■ ただし、研究デザインが後ろ向き研究であること、追跡できていない児が4割くらいあることを考えると、前向き研究が必要そうです。