アトピー性皮膚炎は治るのか?

Pyun BY. Natural history and risk factors of atopic dermatitis in children. Allergy Asthma Immunol Res 2015; 7:101-5.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25729616

 


■ 韓国の免疫アレルギー学会雑誌からの、小児アトピー性皮膚炎の自然史(その後どういう経過をたどるか)とそのリスク因子に関するレビューです。インパクトファクターは決して高くはありませんが、とてもきれいにまとまっており、勉強になりました。

■ レビューですのでUPするのはごく一部にとどめますが、フリーで全文が読めますので是非ご一読を。


 

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、特に幼児期にみられる最も一般的な炎症性アレルギー疾患のひとつであり、アトピーマーチの初期段階であると考えられている。

■ 小児ADは、年齢とともにAD症状が改善したり喘息や鼻結膜炎などの呼吸器アレルギーを発症することがあり、その自然経過は、多くの国で多くの横断的および縦断的研究によって報告されてきた。

■ 実際、小児ADの約40〜70%は6〜7歳で改善するように見えるが、半数以上が幼児期に呼吸器アレルギーを発症する。

特に遺伝的要因を含むいくつかのリスク因子を有する場合、より重症で持続的である傾向がある。

 

 

アレルギーマーチ

 

■ アトピー性皮膚炎(AD)の自然歴に対する大きな関心は、アウトグローする患者数と、アレルギーマーチへ発展する可能性にある。

■ Tucson Children’s Respiratory Studyは、1歳までの湿疹が持続した喘鳴の独立したリスク因子であり、6歳の喘鳴児の18%は2歳前に湿疹があったことを報告した。

 

 

寛解・再発・持続

 

■ AD児は、6-7歳頃には、約40%-70%が回復する。 しかしながら、AD児の半分以上は例えば喘息や鼻結膜炎といった呼吸器アレルギーを発症する。 

■ ADの45%が生後6か月までに、1歳までに60%、と5歳までに85%が最初の症状を発症したと報告されている( J Allergy Clin Immunol 2004; 113:925-31.)。

■ 1990年代の初期までは、ADは主に乳幼児期に発症し2~3歳で改善する疾患とされていたが、1314人の出生コホートは、2歳までに発症したAD児の43.2%の児が7歳までに完全寛解を示すが、18.7%は3歳まで持続することを示し、別のコホート試験は、7歳までに寛解するAD患児は半分に満たないが、60%が成人までに寛解すると報告している(Ann Allergy Asthma Immunol 2010; 105:99-106; quiz 7-9, 17.)

■ カナダで行われたハイリスクコホート研究は、小児の3分の2は生後2歳までにADを罹患し7歳まで42%がAD症状を持続したと報告した(Ann Allergy Asthma Immunol 2013; 110:24-8.)。

■ Huaは、出生コホート研究に参加し2歳までに発症したAD児1404人に関し、後方的にADの寛解率を検討し、48.7%は疾病期間が4歳未満だったが、30.2%が8歳以降もAD症状が持続し、最終的な寛解率は69.8%であるとした(Br J Dermatol 2014; 170:130-5.)。

■ 6~36ヵ月の252人を20歳まで追跡調査した研究において、6歳程度までにADの60.5%は完全寛解するが、回復までの期間は軽症・中等症より重症で長いことを示した(JAm Acad Dermatol 2006;55:765-71.)。

■ 卵に感作した児は、より長くADが持続し、初期の重症度と卵感作は喘息発症に有意に関連した。

■ 1歳未満に発症したADは、罹病期間が短く1-2歳発症のADより寛解率が高いという報告もあるが、別の先行研究は早期発症ADは寛解率が低いと報告している。

 

危険因子

 

遺伝子および環境因子

■  遺伝要因とアトピー感作は、ADの予後に関与する大きな因子である。

■ ADの発症は、女児より男児に多く、思春期には女児が多いことが示されている。

■ Petersらは、思春期までのAD発症、再発、持続に関する危険因子について調査した。すべての危険因子なし群で発症0.14%、再発9.3%、持続28.3%、すべての危険因子あり群では発症21.4%、再発81.7%、持続87.6%と変動すると報告し、特に、幼児期における、親のADや鼻炎の既往歴、小学校早期でのアレルギー感作は、思春期に持続するADに最も関連する予測因子だった(J Allergy Clin Immunol 2010; 126:590-5.e1-3.)。

■ 2~4歳歳までに環境アレルゲンに感作されたAD児は、呼吸アレルギーを発症するリスクが感作のない児よりリスクが高い。 重症AD児の約70%は喘息を発症し、軽症AD児の20%-30%と比較して有意に多い(Allergy Asthma Immunol Res 2011; 3:67-73.)。

■ 多くの研究が、食物アレルギーが小児期の他のアレルギー疾患の発症の強いリスク因子であることを示しており、食物アレルギー発症者は、AD発症年齢が有意に低い(Allergol Int 2013; 62:105-12.)。

 

フィラグリン

■ フィラグリン(FLG)は、表皮境界の分化と皮膚バリア(すなわち表皮の一番上の層)の形成を促進するタンパク質である。

■ 日本、中国、台湾と韓国を含むアジア諸国で行われたFLG突然変異研究では、2箇所の突然変異(R501XとE2422X)だけが、ヨーロッパとアジアの患者で同時に見つかると報告している。

■ 特に2歳以下でADを発症した患者において、FLG突然変異は、ADの主要な危険因子と考えられている(J Invest Dermatol 2007; 127:722-4.)。

 

ビタミンD

■ ビタミンDが正常なケラチノサイト増殖、分化、機能に必要とされるため、不十分なビタミンD代謝はケラチノサイトやその因子に影響する可能性がある。

 

 

肥満

■ 肥満は、アトピー性疾患の重症度に関与する可能性があるが、まだ立証されていない。

 

 

 

結論

 

■ 特に遺伝要因を含むなんらかの危険因子がある場合、ADは一般に、重篤で持続する傾向がある。

■ AD児は、6-7歳頃には、約40%-70%が回復する。

■ しかしながら、AD児の半分以上は呼吸アレルギー(例えば喘息や鼻結膜炎)を呈する

■ 従って、ADの持続率を減らし、アトピーマーチを防止する早期介入の戦略は、すべてのアレルギー専門医のための課題である。

 

 

コメント

 

さて、 このレビューを読んで、皆さんはどのように感じましたでしょうか?

アトピー性皮膚炎は自然寛解するひともたくさんいるから、治療は不十分でもよい、でしょうか?

一つの考えとしては、あるのかもしれませんが、私は、むしろ積極的に治療介入をしなければ、喘息、鼻結膜炎や食物アレルギーのリスクが大きく上がり、もしアトピー性皮膚炎が収まっても”アレルギー人生が続く確率が高くなる”と読みます。

一方で、ステロイド外用薬を定期的に使用する場合は、減量までの道筋を十分見据えたうえでスキンケア指導を十分に行い、副作用に目をくばるべきだと思っています。

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