Boyle RJ, et al. Prebiotic-supplemented partially hydrolysed cow's milk formula for the prevention of eczema in high-risk infants: a randomized controlled trial. Allergy 2016; 71:701-10.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27111273
■ 部分加水分解乳(低アレルゲンミルク)がアトピー性皮膚炎の予防に働くかもしれないという先行研究がありますが、逆の結果を導き出している研究結果もあり、混沌としています。
プロバイオティクス(乳酸菌製剤)はアトピー性皮膚炎発症を予防する: システマティックレビュー
■ 一方、プロ・プレ・シンバイオティクスのアトピー性皮膚炎への効果の報告もあり、オリゴ糖(プレバイオティクス)を添加した部分加水分解乳を摂取させるとアトピー性皮膚炎が予防できないかを検討した結果をご紹介いたします。
P: 生後18週未満に人工栄養が開始になった生後6ヶ月未満の児
E: オリゴ糖(0.8g/100ml)を添加した部分加水分解乳(pHF-OS群)432人 C: 標準人工乳(対照群)431人 O: プライマリアウトカム: 0-4週に開始となった児(pHF-OS群 375人、対照群 383人)の生後12ヶ月時のEczema(=アトピー性皮膚炎)累積罹患率 セカンダリアウトカム: ランダム化された全例での12-もしくは18ヶ月時のEczema(=アトピー性皮膚炎)累積罹患率と、6ヶ月時の免疫マーカーと副反応 |
結果
■ 生後12ヶ月時のEczemaは、生後0-4週間目にpHF-OSに割り当てられた群 84/293例(28.7%)、対照に割り当てられた93/324人(28.7%)がEczema(=アトピー性皮膚炎)を発症し、有意差は認められなかった(OR 0.98 95%CI 0.68、1.40; P = 0.90)。
■ ランダム化されたすべての乳児においても、pHF-OS群 107/347人(30.8%)、対照群112/370人(30.3%)が発症し、有意差は認められなかった(OR 0.99 95%のCI 0.71、1.37; P = 0.94)。
■ pHF-OS群は総/特異的IgEを含む多くの免疫マーカーが変化しなかった。
■ しかし、pHF-OSはミルク特異的IgG1を減少させ(P < 0.0001)、調節性T細胞とplasmacytoid樹枝状細胞の割合が上昇した。
■ 有害事象に有意差はなかった。
コメント
■ pHF-OSは、ハイリスク乳児の1歳までのEczema(=アトピー性皮膚炎)を予防しないと結論できます。
■ 部分加水分解乳が、ハイリスク乳児に対し、普通人工乳に比較してEczemaを予防するという先行研究に関してはそれぞれ矛盾した結果でした(J Allergy Clin Immunol2013;131:1565–1573.)(J Allergy Clin Immunol 2011;128:360–365)(J Allergy Clin Immunol Pract 2013;1:29–36.)。 それに対する答えと言えるでしょう。
■ 全く関係ない点ですが、それにしても、リクルート期間が2006年4月から2011年3月までと5年に及んでいます。日本の科研費では最後まで出来ていないでしょうね、、