こどものアトピー性皮膚炎が13歳まで持続する因子はなにか?

小児期のアトピー性皮膚炎は、成人までに2割~3割持ち越すということがわかっています。

■ 台湾での2歳のアトピー性皮膚炎の予後を検討したコホート試験は、3割程度のアトピー性皮膚炎が成人まで持ち越す可能性があることが指摘されています。

■ 持ち越すリスク因子は、どういったものがあるのでしょうか?コペンハーゲンで進行中のCOPSAC2000コホート試験の結果をご紹介します。

 



 

Thorsteinsdottir S, et al. Genetic, Clinical, and Environmental Factors Associated With Persistent Atopic Dermatitis in Childhood. JAMA dermatology 2018. [Epub ahead of print]

COPSAC2000出生コホート研究に参加した小児411人を13歳まで追跡調査し、アトピー性皮膚炎が持続した因子を検討した。

重要性

■ 小児期のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の持続に関連した因子についての情報は少ない。

 

目的

■ 13年間のハイリスク出生コホートの追跡調査に基づき、ADの持続性に関連する遺伝的、環境的、臨床的因子を調べる。

 

研究デザイン、セッティング、参加者

Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood 2000(COPSAC2000)臨床出生コホート研究において、1998年8月から2015年6月まで、デンマークのコペンハーゲンの臨床研究施設の小児411人が13歳まで追跡調査された。

■ アトピー性皮膚炎は、Hanifin and Rajka基準に従い詳細な臨床追跡調査により前向きに診断された。

■ 親へのインタビュー調査を通じ、親の病歴、社会的状況、環境要因に関するデータが収集された。

■ このコホートは、7歳までクリニックに年2回受診することで追跡調査され、13歳で再度調査された。

■ データは2015年8月から2018年1月まで解析された。

 

主な結果と測定

■ アトピー性皮膚炎は、Hanifin and Rajkaの大小の基準を使用して診断され、重症度はScoring Atopic Dermatitis (SCORAD)(0から83までのスコアで表され、スコアが高いほどより重症のADを示唆する)によって決定された。

 

結果

■ コホートの小児411人のうち、男児203人(49.4%)であり、186人(45.3%)が13歳より前にADと診断された。

小児166人のうち40人(24.1%)が13歳時点でもADが持続しており、126人(76.0%)が寛解を経験していた。

13歳までADの持続に関連する因子には、遺伝性、環境曝露、喘息、アレルゲン感作、診断時の臨床像、Hanifin and Rajkaにおける診断上の小基準の内容、SCORADによるAD重症度が含まれた。

■ より高いAD遺伝的リスクスコアは、持続したADに対するリスク増加(多変量オッズ比 [odds ratio; OR] 1.8; 95% CI 1.1-2.9; P=. 02)に関連し、さらに父の喘息 (多変量OR, 3.7; 95% CI 1.2-11.5; P=. 02)、父のAD(多変量OR, 6.2; 95% CI, 1.17-23.2; P=. 007)、より高い社会的状況(多変量OR 1.6; 95%CI 1.0-2.5; P = 0.05)と関連していた。

■ 診断時の特定の臨床症状は、診断時の重症度の高さ(OR 1.1; 95%CI 1.0-1.1; P = 0.007)と同様に、Hanifin and Rajka診断基準の特定の小基準と関連していた(Dennie-Morgan、前頸部のしわ、白色皮膚描記症、羊毛不耐症、発汗時のかゆみ、皮膚の感染傾向、食物不耐性、食物アレルギー) (OR, 2.6; 95% CI, 1.1-6.2; P=. 03)

注; Dennie-Morgan(徴候)とは、下眼瞼に認める皺のことです。

 

結論と妥当性

■ 13歳までの詳細な臨床的な追跡調査を受けた喘息リスクのある児の出生コホートでは、既知の遺伝的なADリスク変異、父方の喘息とアトピー性皮膚炎、高い社会的状況、診断上の小基準、発症時の疾患重症度が、13歳時点までのアトピー性皮膚炎の持続性と関連していた。

■ これらの知見は、個々の患者のありうる臨床経過を評価するために日常臨床に適用され得る。

 



 

結局、何がわかった?

 ✅ COPSAC2000出生コホートに参加した児を13歳まで追跡調査すると、既知の遺伝的リスク、父方の喘息とアトピー性皮膚炎、社会的状況の高さが、アトピー性皮膚炎の持続因子となった。

 ✅ 診断時の重症度(OR 1.1; 95%CI 1.0-1.1; P = 0.007)が持続する因子だった。

 ✅ Hanifin and Rajka診断基準の特定の小基準にも関連していた(Dennie-Morgan徴候、前頸部のしわ、白色皮膚描記症、羊毛不耐症、発汗時のかゆみ、皮膚の感染傾向、食物不耐性、食物アレルギー) (OR 2.6; 95% CI, 1.1-6.2; P=. 03) 。

 

初回調査での重症度・Hanifin and Rajka診断基準の小基準が、13歳までアトピー性皮膚炎が持続する因子と示されたことは、重症化させないことが重要だろうと思わせる。

■ 小児期のアトピー性皮膚炎は、多くは寛解することは確かです。

■ 遺伝素因に関してはアレルギー疾患のない両親からの児は、27.1%がアトピー性皮膚炎を発症し、一人もしくは二人のアレルギー疾患歴がある場合、それぞれ37.9%・50.0%という報告があります(Bohme M, et al. Family history and risk of atopic dermatitis in children up to 4 years. Clin Exp Allergy 2003; 33:1226-31.)。

■ しかし、この検討結果からもわかるように、最初の登録時のアトピー性皮膚炎の重症度が、そのさきのアトピー性皮膚炎の持続に関連することがわかります。

■ さらに、Hanifin and Rajka診断基準のうちの小基準の多くが、「いかにもアトピー性皮膚炎が持続・悪化しているときの症状」です。

■ すなわち、アトピー性皮膚炎は早期に治療介入して安定化を目指すことが、成人まで持続させない方法になるのではなるのかもしれません

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 13歳までアトピー性皮膚炎が持続するリスク因子として、既知の遺伝的リスク、父方の喘息とアトピー性皮膚炎、社会的状況の高さに加え、診断時の重症度(OR 1.1; 95%CI 1.0-1.1; P = 0.007)、Hanifin and Rajka診断基準の特定の小基準(OR 2.6; 95% CI, 1.1-6.2; P=. 03)に関連していた。

 

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