ピーナッツアレルギーは、マウスの気道過敏性を増強させる

Utsch L, et al., Experimental food allergy to peanut enhances the immune response to house dust mite in the airways of mice. Clin Exp Allergy 2017; 47:121-8.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27533916

 


ほぼAbstractとFigureのみしか読んでいませんが、重要な報告と思い紹介させていただきます。

気道過敏性に関してはHDM(ダニ)など環境抗原に対しての反応がメインと考えられますが、今回の報告は、ピーナッツに感作されたマウスにダニを吸入させるとアレルギー反応が強くなるという報告です。


 

P: BALB/cマウス(経口的にピーナッツに感作され、ピーナッツ経口チャレンジでピーナッツに全身的なアレルギーを起こすモデルマウス)

E: HDM (house dust mite=ダニ)抽出物を鼻腔内曝露

C: PBS((Phosphate buffered saline;リン酸緩衝生理食塩水)を鼻腔内曝露

O: HDMに対する反応(好酸球の動員、サイトカイン反応、HDM特異的免疫グロブリン、気道過敏性)、ピーナッツ(サイトカイン反応、腸内の肥満細胞、血清mMCP-1、体温)に違いはあるか

 

 

結果

 

先行するピーナッツ感作は、HDMに誘導されたIL-4・IL-5・IL-13産生、肺リンパ節内のIFNγ、HDMに感作されたマウスの総IgE値を増加させた。

しかし、気道もしくは気道過敏における炎症細胞は、PE/HDMに感作されたマウスで悪化しなかった。

また、HDMに誘発された気道炎症は、ピーナッツによる負荷試験に対する免疫応答もしくは過敏反応に有意な影響を及ぼさなかった。

 

 

コメント

 

ピーナッツ感作が、マウスの気道におけるIgEもしくはHDM特異的なTh2反応を増強させたとまとめられます。

アレルギー体質であるヒトでしばしばみられる多抗原感作の免疫的機序に関与する可能性がある、とされていました。 

アレルギー感作が強い方に対してスキンケア指導を十分して皮膚が安定すると、IgEの上昇が抑えられることが多いのですが、一方でぐんぐん上がっていってしまう方もいらっしゃいます。この現象にはこの論文のような機序があるのかもしれないなと思いました。

たとえば、経口免疫療法を行って、食物アレルギー感作が改善すると、全体的な感作にも影響するのでしょうか?そうだったら、免疫療法は固別のアレルゲンの寛容を誘導しているのみの治療ではないともいえますので、さらに有用性が考えられるのかもしれません。

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