母の摂取したアレルゲンは、羊水中にも存在するのかという報告をご紹介します。
■ アレルゲン曝露のルートは、経胎盤・経母乳・経口、そして経皮などが考えられます。
■ 経胎盤からのルートとして、羊水中に食物アレルゲンが検出されるかを検討した研究結果がありましたので、ご紹介いたします。
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O: 羊水中に乳、果物、卵、魚、ナッツ、小麦などのアレルゲンは存在するか
Pastor-Vargas C, et al. Detection of major food allergens in amniotic fluid: initial allergenic encounter during pregnancy. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:716-20.
結果
■ 満期分娩後の羊水8例、妊娠15週から20週に羊水穿刺診断を受けた女性からの羊水12例が集められた。
■ マイクロアレイを用いて、カゼイン (Bos d 8), βラクトグロブリン (Bos d 5), スイカ・プロフィリン(Cit la 2), オボアルブミン(Gal d 2), カエル・パルブアルブミン (Ran e 1), 桃・タウマチン (Pru p 2), lipid transfer protein (Pru p 3), マスタード・ 11S globulin (Sin a 2), 小麦 lipid transfer protein (Tri a 14), 小麦gliadin (Tri a 20)が調べられた。
■ アレルゲンは、すべての検体から検出され(2.3~11.6mg/ml)、一般に消費されているアレルゲン(βラクトグロブリン、カゼイン、グリアジン、Gal d 2)は、高く検出された。
■ 羊水穿刺からの検体は、満期分娩後の検体よりアレルゲン濃度が高かった。
羊水中には食物アレルゲンは存在する。しかし、それは発症促進ではなく発症抑制に働く可能性もある。
■ すでに、ダニアレルゲンは羊水中に検出され(Lancet 2000: 356: 1900–2.)、母ラットが卵摂取後に羊水中にオボアルブミンが検出される(Comp Biochem Physiol AComp Physiol 1984: 77: 199–201.)ことが先行研究で示されているようです。
■ 今回の結果は、母の食事から羊水へ食物アレルゲンが移行し検出されるとまとめられますが、一方、母の食事から児が食物アレルギーを発症するとは結論できません。
■ すでに、先行研究では母の除去食では児の食物アレルギーが予防できない、むしろ発症に働く可能性すら指摘されており、この研究は母の摂取した食物が児に影響しうること(アレルギー発症or予防どちらにも)を示唆したものと言えましょう。