甘味を頻回に食べる習慣があると、喘息が悪化する?

気道や皮膚のマイクロバイオーム(微生物叢)が、アレルギーに関係することは、さまざまな研究で明らかになってきている。

■ アレルギー疾患がマイクロバイオーム(微生物叢)と関連することは、さまざまな報告がなされています。

■ そしてマイクロバイオームとの関連を絡めて、甘味を毎日食べていると、喘息が悪化するかも…という報告が、ポーランドのウッチ医科大学から報告されていました。

 

※甘味を食べてはいけないという意味ではありませんので、念のためm(_ _)m

Majak P, Molińska K, Latek M, Rychlik B, Wachulec M, Błauż A, et al. Upper-airway dysbiosis related to frequent sweets consumption increases the risk of asthma in children with chronic rhinosinusitis. Pediatric Allergy and Immunology 2021; 32:489-500.

慢性副鼻腔炎と診断された4~8歳の小児133名に対し、アンケート調査や皮膚プリックテスト、味覚検査、鼻咽頭ぬぐい液、鼻粘膜の採取を行い、細菌叢と喘息のリスクとの関連を調査した。

背景

■ 慢性鼻副鼻腔炎(CRS)と喘息を併発する最も重要な免疫学的背景のひとつは、局所的なディスバイオシスに対する自然免疫反応であるとされる。
■ そこで、慢性鼻副鼻腔炎(CRS)を有する幼児における上気道ディスバイオーシスの臨床的決定因子と、それが鼻炎症プロファイルおよび喘息リスクに及ぼす影響を評価することを目的とした。

方法

■ 喘息の有無にかかわらず、医師によってCRSと診断された4~8歳の小児133名をリクルートした。
■ 参加者全員に対して、副鼻腔・鼻のQOLアンケート、皮膚プリックテスト、味覚検査、鼻咽頭ぬぐい液、鼻粘膜の採取を実施した。

■ 上気道ディスバイオーシスは、喘息特異的マイクロバイオームの組成と生物多様性の低下によって個別に定義された。
■ 多変量解析法を用いて、喘息や上気道ディスバイオーシスのリスク因子と鼻粘膜の特異的炎症プロファイルを定義した。

結果

■ 喘息特異的な上気道マイクロバイオーム組成は、 Patescibacteria/Actinobacteria の比の低下で反映され、喘息のリスクを増加させた(OR:8.32;95%CI:2.93-23.6)。
■ 喘息特異的マイクロバイオームの組成は、週7回以上の甘いものの摂取(OR:2.64; 95%CI:1.11-6.28)、生物多様性の減少(OR:3.83; 95%CI:1.65-8.87)、鼻咽頭におけるブドウ球菌株の存在(OR:4.25; 95%CI:1.12-16.1)、鼻粘膜におけるβ-ディフェンシン2、IL-5、IL-13の低発現と関連していた。

■ 生物多様性の低下は、抗生物質の頻繁な使用、IL-17およびT1R3(甘味受容体)の鼻腔内発現の高さと関連していた。
■ 喘息児では、甘味知覚の低下が観察された。

結論

■ 頻繁な甘味摂取、頻繁な抗生物質投与、鼻免疫機能の変化に関連した特異的な上気道ディスバイオーシスは、CRSの幼児における喘息のリスクを増加させる。

 

 

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