ガス調理コンロやガスオーブンは、子どもの喘息の発症リスクになるかもしれない?

受動喫煙、大気汚染だけでなく、ガスコンロの使用は子どもの喘息リスクを高めるかもしれない?

■ 受動喫煙は、子どもの喘息に大きなマイナスになることはよく知られています。

■ さらに、大気汚染も喘息のリスクになることも知られています。

■ そして最近、このような空気を悪化させるものとして、調理のための家庭内でのガスコンロの使用も、子どもの喘息リスクの増加と関連しているのではないかという報告が、最近ありました。
■ ちょっと盲点だったかもしれないと、確認してみました。

※ガスコンロを使っているから、子どもが喘息になった…といいたいわけではなく、このようなメカニズムもあるかもしれないという結果です。もしガスコンロを使用しているなら換気をしておくなど対策をしておいたほうが良いかもしれません。

Gruenwald T, Seals BA, Knibbs LD, Hosgood HD. Population Attributable Fraction of Gas Stoves and Childhood Asthma in the United States. International Journal of Environmental Research and Public Health 2023; 20:75.

18歳未満の小児を、米国住宅調査からのデータに基づき、ガスコンロ使用に関連する小児喘息のPAF (population attributable fraction, 人口寄与割合)をメタアナリシスで定量化した。

背景

■ 調理のための屋内ガスコンロの使用は、小児の喘息リスクの増加と関連しており、米国(US)では35%の家庭で普及している。
■ ガス調理の集団レベルでの影響はほとんど認識されていない。

目的

■ 米国におけるガスコンロの使用と現在の小児喘息に関する集団帰属割合(PAF)を定量化した。

結果

■ PAFの推定には、現在の喘息についてメタアナリシスで以前に報告された効果量 (オッズ比=1.34、95%信頼区間(CI)=1.12-1.57)を利用した。
■ ガスコンロに曝露されている小児(18歳未満)の割合は、米国住宅調査(American Housing Survey)から入手した。
■ その結果、米国における現在の小児喘息の12.7% (95%CI=6.3-19.3%)がガスコンロの使用に起因していることが判明した。
■ ガスコンロの使用がなければ理論的に防ぐことができる小児喘息の割合(例:州別PAF)は、州によって異なっていた(イリノイ州=21.1%;カリフォルニア州=20.1%;ニューヨーク州=18.8%;マサチューセッツ州=15.4%;ペンシルベニア州=13.5%)。

結論

■ この結果は、ガスコンロの使用と小児喘息に起因する米国の公衆衛生上の負担を定量化したものである。
■ 郡レベルで経験される負担を定量化し、介入研究を通じて緩和戦略を実施することの影響を定量化するためには、さらなる研究が必要である。

 

 

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