交通機関による大気汚染は、アレルギーや呼吸機能低下に関連する: コホート研究

Bowatte G, et al. Traffic-related air pollution exposure is associated with allergic sensitization, asthma, and poor lung function in middle age. J Allergy Clin Immunol 2017; 139:122-9.e1.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27372567

 


いわゆる大気汚染は、喘息の悪化に結び付くことに異論を唱える方はおられないでしょう。

これまでも、当ブログでも受動喫煙の害や、大気汚染とアトピー性皮膚炎の関連に関する報告などをご紹介してきました。

受動喫煙は、喘息入院や救急受診を増加させる: システマティックレビュー

気候・汚染物質とアトピー性皮膚炎の関係

今回は、幹線道路からの距離や二酸化窒素(NO2)とアレルギー・肺機能との関連の報告を御紹介いたします


 

P: Tasmanian Longitudinal Health Study(TAHS)の2002年の研究に参加した1405人

 (もともとはTAHSは7歳のタスマニア島の小児8583人が参加し、1968年に開始されており、最初の参加者が44歳に達したときの研究)

E: 年間の平均二酸化窒素(NO2)曝露

C: -

O: 交通関連の大気汚染(Traffic-related air pollution; TRAP)曝露は、アレルギー感作、肺機能、現在の喘鳴、喘息と関連するか

 

 

結果

 

皮膚プリックテストは、8種類のエアロアレルゲンに対して実施された(ヤケヒョウヒダニ、ネコ、Cladosporium cladosporioides、Alternaria tenuis、ペニシリウム混合物、Aspergillus fumigatus、perennial ryegrass、mixed grasses [ケンタッキーブルーグラス、オーチャード、レッドトップ、チモシー、ハルガヤ、ヒロハノウシノケグサ含有])。

参加者のうち、27.4%が、主要道路から200m未満で生活していた。

主要道路までの距離と一年あたりの平均NO2との相関は軽度だった(r =-0.40)。

年間平均NO2曝露は、アトピーのリスク増加(補正オッズ比[aOR]1.14; 95%CI 1.02-1.28; 四分位ごとの増加(NO2[2.2ppb]ごと)、ネコ感作(aOR 1.31; 95%CI 1.15-1.49)、HDM感作(aOR 1.20; 95%CI 1.08-1.34)、現在の喘鳴(aOR 1.14; 95%CI 1.02-1.28)と関連した

同様に、主要道路から200m未満で生活することは、現在の喘鳴(aOR 1.38; 95%CI 1.06-1.80)、アトピー(aOR 1.26; 95%CI 0.99-1.62)と関連した

また、気管支拡張剤前と後でのFEV1の有意な改善と、気管支拡張薬前の努力性肺活量の 25%~75%呼吸時気流量と関連した。

さらに、主要道路から200m未満で生活することと、アトピー・喘息・アトピー型喘息に対するGSTT1多型に相互作用があった

コメント

 

概して、交通関連の汚染物質(TRAP)に曝露されると、特にGSTT1 null genotypeキャリアは、喘息とアレルギーのリスクが増加するとまとめられます。

比較的少ないTRAP曝露でも、遺伝的に高感受性である場合は呼吸やアレルギーのリスクが増加する可能性があるといえるでしょう。

 

 

 

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