ピーナッツアレルギーと他のナッツ類やマメ類の交差性には、どのような特徴があるか?

ピーナッツは豆類に分類されますが、交差抗原性はよくわかっていません。そのテーマの検討結果。

■ 外来のセッティングで、ピーナッツアレルギーのお子さんを診る機会が増えています。

■ その際、困る質問が、「ピーナッツアレルギーがあったら、ほかのナッツはどうしたらいいんですか?」というものです。

 

P: 2004年3月から2016年5月にセントヴィンセント・リール病院(フランス)に受診したピーナッツアレルギー(PA)児 317人(平均年齢7±3.9歳、男児62.8%)
E: -
C: -
O: ピーナッツアレルギーと他のマメ科・ナッツ類アレルギーの関係

 

結果

■ 67.5%にアトピー性皮膚炎(AD)、64.7%に喘息、276人(87.1%)に一つ以上のナッツ類(tree nut; TN)および/またはの他のマメ科植物に対する感作が認められた。

ピーナッツアレルギー(PA)は、病歴、ピーナッツ皮膚プリックテスト(SPT)陽性、ピーナッツコンポーネント(rAra h 1、rAra h 2、rAra h 3)特異的IgE抗体価 0.1kUA/l以上、二重盲検負荷試験陽性によって定義された。

■ TNおよび/または他のマメ科植物に対する交差アレルギーは、SPT陽性・特異的IgE抗体価 0.1kUA/l以上・食物負荷試験陽性のどれかがあり、過去6ヵ月間に個々の食物の独立した摂取後の有意なI型アレルギー反応の病歴がある場合と定義された。

■ TNおよび/または他のマメ科植物に対する交差アレルギーは137人(43.2%)で特定された。

■ アトピー性皮膚炎が主要な危険因子(adjustedOR = 16[95%CI:7.4-37]; p < 0.001)だった。

■ クラスター分析から、3つのフェノタイプが特定された。

■ クラスター1(72人)は、高いrAra h 2抗体価で特徴づけられ、ピーナッツに対する反応閾値が低く、喘息罹患率が高かった

■ クラスター2(93人)は、ピーナッツに対する反応閾値が高く、TNおよび/またはマメ科植物に対する交差アレルギー率が最も低かった

■ クラスター3(152人)は大部分の患者は湿疹に罹患しており、TNに対する交差アレルギーがハイリスクだった

 Cousin M, et al. Phenotypical characterization of peanut allergic children with differences in cross-allergy to tree nuts and other legumes. Pediatr Allergy Immunol 2017. [Epub ahead of print]

コメント

■ 特定された3つのフェノタイプは、PA児におけるTNおよびマメ科植物に対する交差アレルギーのリスクを特定するために役立つのではないかとされていました。

今回の結果から、1) アドレナリン自己注射を処方する場合に、ピーナッツアレルギーが重篤になるタイプは喘息と関連していることを考慮に入れる2) ピーナッツの閾値が高い場合はTNおよび/またはマメ科植物の交差反応性がまれであること、3) AD患者においては、多種食物アレルギーを発症するために注意するべきであるとされていました。

■ PA患者に対するTNの交差アレルギーは、28%から50%にわたることが報告されているそうです(J Allergy Clin Immunol 2008: 122: 145151、Pediatrics 1998: 102: e6.、BMJ 1996: 312: 1074-1078.、BMJ 1998: 316: 1271-1275.)

■ 欧州におけるピーナッツアレルギーは1.3%と高く、ナッツ類アレルギーも 0.05から4.9%の有病率であるとされているそうです。

そして、ピーナッツがマメ科植物に属しTNには属していないにもかかわらず、しばしば併発することが知られています。そういった背景から組まれた研究ですが、クリアカットな話はできないにせよ、一緒くたに見るのではなく、タイプが分かれるのだと認識できるだけでも有意義といえそうです。

 

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