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■ milk ladder (ミルクはしご)とは何ぞや?と思って論文を読み始めたら、どうやらミルクの抗原段階表といったもののようです。
海外のサイトから引用。
E: -
C: -
O: BMの負荷試験場所と陽性結果、ミルク抗原段階表(Milk ladder; ML)の使用
結果
■ 回答者は、アレルギーに対する関心をもつ栄養士 52人(46%)、小児アレルギー/免疫学専門医 46人(40%)が多く、回答者の多く( 106人[93%])が乳幼児期と小児期のIgEもしくは非IgE依存性ミルクアレルギーのマネージメントに関与していた。
■ IgE依存性ミルクアレルギー
■ 回答者の国籍は、英国 56人(49%)・米国 20人(18%)が多く、二次病院 52人(39%)・三次治療/専門センター 42人(37%)の在籍者が多かった。
■ 93人(82%)は、生乳を許容する前に強く加熱したミルク(Baked Milk; BM)製品を摂取できるかどうかを特定するために強く加熱したミルクによる負荷試験(BMC; BM product as a challenge)を使用すると答えた。
■ 52人(56%)は医療機関で負荷すると答え、家庭で摂取させるが8人(9.0%)、医療機関・家庭両方で摂取させるが33人(35%)だった。
■ 68人(60%)は、さまざまな形状でBMに対する耐性を獲得しているかを決めるためにMLのアプローチを使用していると答えた。
■ MLによるアプローチに関し、19人(28%)は医療機関で、22人(32%)は家庭で、27人(40%)は両方で負荷していると報告した。
■ 非IgE依存性ミルクアレルギー
■ 86人(75%)は、BMに対する耐性の獲得を決めるためにBMCを使用すると述べた。
■ 8人(9%)は医療機関で負荷し、51人(59%)は家庭で、27人(31%)は両方の設定を使用すると報告した。
■ 77人(68%)は、BMを含む摂取できる食品の範囲を同定するためにMLを使用すると報告した。
■ 3人(4%)は、医療機関で摂取させ、56(73%)は家庭で、18人(23%)は両方の設定でMLを使用すると報告した。
■ まとめ
■ IgE依存性か非IgE依存性かで、負荷試験の場所設定(医療機関もしくは家庭)の選択は有意に異なった(P < 0.001)。
■ IgE依存性ミルクアレルギーに関し、家庭もしくは医療機関外のセッティングでも安全と考えたのが30人(26%)である一方、65人(57%)は、医療機関で負荷を行うのが安全と述べた。
コメント
■ この調査からは、医療機関での強く加熱したミルクによる負荷試験(BMC; BM product as a challenge)で32人(28%)、医療機関でのミルク抗原段階表(ミルクラダー;ML)ベースでの負荷で9人(8%)がアナフィラキシーを経験したと報告し、家庭では起こらなかったと回答していました。
■ 当然、負荷試験は医療機関で行うべきでしょうが、食物負荷試験は、長いウェイティングリスト(多くのアレルギークリニックの大きな問題)があることが問題となっており、実施まで時間がかかると指摘されていました。本邦でも同様と思います。
■ さらに、ミルク抗原段階表(ミルクラダー)に関して、BMの国際的なガイダンスの不足も指摘されていました。
■ 現実的にはミルクに関して、本邦でも導入としては、例えばビスケットやパンで始めている医療機関も多くあるようです。しかし、BMによる免疫療法(少しずつ摂取する)の報告はあるものの、現状ではその効果は十分判明しておらず、最終的にはミルクそのものの負荷試験を要することになります。
■ 個人的には、低アレルゲンミルクを積極的に始めて栄養的なマイナスを早めに埋めながら、徐々にEあかちゃん(森永)などのわずかに抗原性の残存しているミルクに移行していき、十分に余裕のあるミルクが摂取できるようになってから加工品の指示をしていったほうがいいのではないかと思っています。
■ 実際、この報告でミルク抗原段階表を使用しても8%程度のアナフィラキシーを呈しているわけで、決して安全とはいえないように思います。
■ また、同じ加工品(例えばML抗原表にある、”チーズを使っていないピザ”が食べられたとして、次回別のメーカーの”チーズを使っていないピザ”が食べられるでしょうか?量はどれくらい?危険な印象が拭えません。
■ まだこの問題に関しては自分の中でも結論は出ていません。まだまだ研究段階であるといえ、あくまでこの報告は、海外での現状を報告しているといえ、何が正しいかを示した論文とはいえないと思います。
今日のまとめ
✅ミルク抗原段階表が海外において使用されているが、まだ焼き固めたようなミルクも含めて情報が不足している。
抗原量に基づいて「食べること」を目指す 食物アレルギー児のための食事と治療用レシピ