解熱鎮痛薬は、風邪の症状を悪化させる?

 

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 今回やや古い論文を提示するのは、普段の診療の疑問点があったからです。

 小児科医は、発熱疾患に対し解熱鎮痛薬を毎日内服することを推奨しません。

 解熱鎮痛薬の使用により、ウイルスの分離期間が長くなる(病気の期間を長くする)という報告(J Infect Dis 162: 1277-1282, 1990.)(JAMA 231: 1248-1251, 1975.)があるからです。

 一方、内科の先生方(この場合、内科の先生で小児も診察している先生方が中心)の処方をみると、毎日解熱鎮痛薬内服を指示されている(他の風邪薬に混合されていることが多い)のを、よく見かけます。

 随分昔に、「解熱薬を毎日内服すると半日程度、発熱期間を延ばす」という文献(二次資料だったかも、、)を診た記憶があったのですが、どの論文かを忘れてしまっていました。最近、かぜの教科書を読んでいてそれらしき論文が提示されていました。

 

P: 上気道感染(upper respiratory tract infections;URTIs)で受診した18~65歳の成人174人
E: メキタジン(抗ヒスタミン薬)+解熱鎮痛薬としてロキソプロフェン60mg/回 84人
C: メキタジン(抗ヒスタミン薬)+プラセボ 90人
O: 症状の持続期間は異なるか

 

結局、何を知りたい?

✅風邪をひいたときに解熱鎮痛薬を飲むと、飲まない人より症状が長引くのか?ということを知ろうとしている。

 

結果

 インフルエンザ、肺炎、溶連菌扁桃炎、他の細菌感染症が原因と考えられた患者は、除外された。
 疾患罹病期間中、ロキソプロフェンの内服錠剤数はプラセボ錠剤より多かった(11.0±5.0錠 vs 9.9±4.9錠、P=.14)。
 症状持続期間は、ロキソプロフェン群8.94±3.20日、プラセボ群8.39±3.39日だった(P=.19)
 日常生活が制限された日数は、ロキソプロフェン群2.12±2.05日、プラセボ群2.68±2.54日(P=.17)だった
 1、2、3日目の強い症状は、ロキソプロフェン群(27%、33%、29%)、プラセボ群(32%、39%、37%)であり、ロキソプロフェン群が少なかったが、6~12日目の症状はロキソプロフェン群のほうが頻度が高かった(差 5-13%)。
 ロキソプロフェン群のうち 8人(9.5%)が追跡期間中、不都合なイベントを報告し(嗜眠3人、のどの渇き2人を含む)、プラセボ群1人(1.1%)より高い傾向だった(P=.051)

 

【論文より引用】

ロキソプロフェンを内服している群のほうが症状が長引く傾向がある

 

 

結局、何がわかった?

✅数学的な差はでなかったが、解熱鎮痛薬を飲んだほうが、風邪の症状が約半日長かった。

✅数学的な差はでなかったが、解熱鎮痛薬を飲んだほうが、日常生活の制限が約半日短かった。

✅数学的な差はでなかったが、解熱鎮痛薬を内服したほうが副作用は多かった。

 

コメント

 

ロキソプロフェンは、上気道感染(upper respiratory tract infections;URTIs)の回復プロセスを明らかに阻害はしないものの、回復を遅らせる傾向があるとまとめられます。
この結果は、高齢患者を除く成人の結果ですので、小児や高齢患者には適用できないとされていました

さて、この論文を読んで、皆さんはどう感じましたか?

私は、有意差はないとはいえ、症状が半日程度伸びるのは確かではないかと思いました。また、副作用も多くなると言えます。現状の、「あくまで辛いときだけにしましょう」という指示を変更するには至らないと考えます。

一方で、解熱鎮痛薬は、最初数日における症状が強い時期の症状を抑える作用があるともいえます。成人を対象にする内科の先生方は、この点を重視するのでしょう。

このあたりに、小児科医と内科医の考えの相違があるように思いました。

 

今日のまとめ

✅解熱鎮痛薬は、半日程度風邪の回復を遅らせるかもしれない。