高齢者の重症インフルエンザ感染に対し、解熱薬と抗生剤を併用すると死亡率が低下する: ランダム化比較試験

Hung IFN, et al. Efficacy of Clarithromycin-Naproxen-Oseltamivir Combination in the Treatment of Patients Hospitalized for Influenza A(H3N2) Infection: An Open-label Randomized, Controlled, Phase IIb/III Trial. Chest 2017; 151:1069-80.

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■ 以前、小児の発熱疾患で解熱薬は発熱期間をのばすかもしれないという報告を御紹介いたしました。

■ 風邪には抗生剤は使用するべきではないというのは、多くの医師にとって常識ではありましょう。少なくとも、自然治癒の見込めるような気道感染症に対する抗生剤の細菌感染予防効果は極めて限定的という報告もあります。

■ それが、最近のCHESTに、高齢者の重症インフルエンザに対し、クラリスロマイシン(クラリス)と、ナプロキセン(ナイキサン)を併用したほうが亡くなる方が少ないという結果が報告され、波紋を呼んでいるようです。

PECO
P:2015年2月から4月香港でインフルエンザA型(H3N2)のために入院した成人患者217人(年齢中央値80歳、男性53.5%)
E:クラリスロマイシン500mg+ナプロキセン200mg+オセルタミビル75mg1日2回 ×2日間→オセルタミビル75mg1日2回 ×3日間 107人
C:オセルタミビル75mg1日2回 ×5日間
O:プライマリエンドポイント: 30日間の死亡率
セカンダリエンドポイント: 90日間の死亡率、連続的な鼻咽頭吸引液(NPA)内のウイルス力価、ノイラミニダーゼ阻害薬耐性FluA(H3N2)ウイルス(NIRV)類似種の割合、肺炎重症度指数(PSI)、病院滞在期間

 

結局、何を知りたい?

 ✅高齢者の重症インフルエンザに対し、オセルタミビル(タミフル)に追加してクラリスロマイシン(クラリス)とナプロキセン(ナイキサン;NSAID)を併用すると死亡率が減るかどうかということを知ろうとしている。

 

結果

■ 有害事象はまれだった。

■ 10例は、30日の管理中に死亡した。

併用療法群は、30日間の死亡率が低く(P = .01)、ICU入院率が低く(P = .009)、病院滞在期間が短った(P < .0001)

ウイルス力価とPSI(1-3日; P < .01)、NIRV類似種≧5%で定義されるNPA検体(1-2日; P < .01)は、併用療法群で有意により低かった

■ 多変量解析により、併用療法は30日間の死亡率に関連した唯一の独立因子であることを示唆した(OR 0.06; 95%CI、0.004-0.94; P = 04)。

結局、何がわかった?

 ✅高齢者(中央値80歳)の入院が必要な重症H3N2インフルエンザに対し、クラリスロマイシン(クラリス)とNSAID(ナプロキセン;ナイキサン)を3日間併用すると、死亡率が低下した。

 

コメント

高齢者の重症インフルエンザに対する、タミフル+マクロライド+NSAID併用療法は、30日間 と90日間の死亡率と病院滞在日数を減少させたとまとめられます。

■ マクロライドとNSAIDが炎症誘発性サイトカイン産生を低下させ組織に白血球を動員するのを調整するかもしれないことを示唆しているそうです(Expert Rev Anti Infect Ther. 2011; 9(7):807-822.)。
■ また、マウスレベルですがエリスロマイシン治療は、H2N2感染マウスの生存率を14%から57%まで増加させたという研究もあるそうです( Am J Respir Crit Care Med.1998;157(3):853-857.)。

■ これらから考えると、抗生剤はマクロライドでないといけないのかもしれませんね。

■ 重篤なインフルエンザに対する併用療法の抗ウイルスと免疫調節性効果に対する更なる研究は正当化されるとされていました。

■ ナプロキセンは小児には使用できませんし、クラリスをインフルエンザに毎回投与もどうかと思いますが、重症インフルエンザと考えた場合はオプションとして考えてもいいのかもしれません。

■ しかし、これを見て、小児のインフルエンザ全員に併用するのもどうかと思いますし、あくまでオプションとして知っておく、で良いだろうと感じました。。

 

 

今日のまとめ!

 ✅高齢者の重症インフルエンザに対し、3日間のクラリスロマイシン、ナプロキセン併用療法はオプションとして知っておいていいかもしれない。