保湿剤の頻繁な使用は、余分な物質にも多くさらすかもしれない

 

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 アトピー性皮膚炎の予防や治療に関し、保湿剤は極めて重要なポジションにあります。

新生児期からの保湿剤定期塗布はアトピー性皮膚炎を予防する: ランダム化比較試験

アトピー性皮膚炎に対する保湿剤使用: レビュー

乳児の標準的なスキンケアに対する推奨

 私は、アトピー性皮膚炎に対し、保湿剤を頻回に使用することを強く勧める医師のひとりではありますが、医学は一方的に白黒つけることができないことも承知しているつもりです。

 今回は、保湿剤のデメリットかもしれない報告をご紹介いたします。

 

P: デンマークの4-9歳の小児845人(男児59.5%、女児40.5%)
E: 保湿剤の頻繁な使用
C: 保湿剤をあまり使用しない
O: 尿中フタル酸塩代謝産物とパラベン濃度

 

結局、何を知りたい?

✅保湿剤を塗ることで、余分な成分も吸収されていないかどうかを知ろうとしている。

 

結果

 

 1997~2001年にコペンハーゲン(デンマーク)で行われたコホート試験に参加した1953人の妊婦対して行われ、児に関し出生時、生後3、18、36ヵ月で追跡調査され、本研究は4-9歳時845人の小児に対する尿検査で行われた。
 保湿剤の使用方法に関してはアンケート調査により、「どれくらい、あなた(またはあなたの小児)はあなたの子どもにエモリエントもしくはモイスチャライザーを使用するか?」という質問で行われた。

 回答カテゴリーは、「毎日」、「週につき数回」、「1ヵ月につき数回」、「まれに」、「決して使用しない」を含んだ。
 アトピー性皮膚炎の有病率は16.1%だった。
 尿中フタル酸塩代謝産物とパラベンに関しては、メチルパラベン(MePa)・エチルパラベン(EtPa)・パラオキシ安息香酸プロピル(PrPa)・ブチルパラベン(BuPa)・ベンジルパラベン(BzPa)とともに、フタル酸(DEP)ジエチルフタル酸塩代謝産物・di-n-butyl phthalate (DnBP)・di-n-butyl phthalate (DnBP)・butylbenzyl phthalate (BBzP)・ di-(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP)・ di-n-octyl phthalate (DOP)濃度が、液体クロマトグラフィ・タンデム型質量分析によって分析された。
 頻繁に保湿薬を使用する児の尿中のフタル酸塩代謝産物とパラベンは、保湿剤をあまり使用しない児と比較して、より高かった

 一般的なフィラグリン(FLG)突然変異との関連はなかったが、アトピー性皮膚炎児は、アトピー性皮膚炎のない児と比較すると尿中低分子(LMW)フタル酸のひとつとパラベンの2つが有意に高値だった。

 

結局、何がわかった?

✅保湿剤を頻繁に塗っている児のほうが、あまり塗っていない児より保湿剤の添加物の代謝産物のいくつかが尿のなかに多く認められた。

 

コメント

 

 保湿剤の使用とアトピー性皮膚炎は、4-9歳児の体内のLMWフタル酸塩とパラベン暴露をわずかに増加させたとまとめられます。
 その差が痒みや炎症がある皮膚を治療するために用いる特定の保湿剤の使用によって説明され得るかどうか、もしくは 皮膚バリア障害がよりそれらをより透過させるかどうかは、よくわかっていないと述べられていました。

 また、それらの物質が毒物的な負担を増やすのかどうかも分かっていない

 パーソナルスキンケア用品において、パラベンを含む皮膚感作物質を含むものはすくなからずあり、主にプラスチック容器からの汚染物質として、また、フタル酸塩ジエステルが化粧品やパーソナルスキンケア用品に認められるそうです。

 これらの化学物質は軟化効果のため、添加される可能性があります。

 保湿剤そのもののマイナス点と言えるでしょうけれども、論文の図にある量の違いは小さいものであり、これがどこまで問題点として指摘できるのかは明らかになったとは言えません。

 これらを恐れて保湿剤を塗布せずに皮膚のバリア機能を低下させてアトピー性皮膚炎を悪化させるほうが大きなマイナスのように思えます。

 

今日のまとめ

✅保湿剤に含有されるパラベンやフタル酸塩は、アトピー性皮膚炎や頻回の保湿剤塗布で人体に入ってくる可能性があるが、それが人体に影響を及ぼすかどうかは明らかではない。

 

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