プロバイオティクスの併用とアレルギー予防。
■ 以前、プロバイオティクス(乳酸菌製剤)に関するアレルギー予防に関し、ご紹介しました。
プロバイオティクス(乳酸菌製剤)はアトピー性皮膚炎発症を予防する: システマティックレビュー
■ 今回ご紹介するのは、低アレルゲンミルクに乳酸菌製剤を加えることでアレルギー疾患の予防に働くかどうかを検討した研究結果です。
E: 高度加水カゼイン分解乳+Lactobacillus rhamnosus GG (LGG) 110人
C: 高度加水カゼイン分解乳 110人
O: プライマリアウトカム: 36ヶ月後、少なくとも一つのアレルギー症状(allergic manifestation; AM)(湿疹、じんま疹、喘息、鼻結膜炎)のリスクが低下するか
セカンダリアウトカム: 二重盲検食物負荷試験で確認された生後12,24,36ヶ月の食物耐性
結局、何を知りたい?
✅乳児期から、低アレルゲンミルクに乳酸菌製剤(Lactobacillus rhamnosus GG)を加えて継続して飲むと、アレルギー疾患の発症リスクが減るかどうかということを知ろうとしている。
結果
■ complete case analysisにおいて、生後36ヵ月間の少なくとも一つの少なくとも一つのアレルギー症状(allergic manifestation; AM)発症におけるabsolute risk difference は-0.23(95%CI -0.36~-0.10; P < .001)だった。
■ 牛乳耐性獲得におけるabsolute risk differenceは、
① 12ヵ月時 0.20(95%CI 0.05-0.35; P < .01)
② 24ヵ月時 0.24(95%CI、0.08-0.41; P < .01)
③ 36ヵ月時 0.27(95%CI 0.11-0.43; P < .001)だった。
■ フォローできなかった全27人を考慮しても、プライマリアウトカムは変わらなかった。
結局、何がわかった?
✅生後5ヶ月時から、低アレルゲンミルクに乳酸菌製剤(Lactobacillus rhamnosus GG)を添加して内服すると、3歳までのアレルギー疾患(湿疹、じんましん、喘息、鼻結膜炎)の予防に効果があった。
コメント
■ 高度加水カゼイン分解乳+LGG(プロバイオティクス)は、IgE依存性の牛乳アレルギーの経口免疫寛容の誘導を早め、他のアレルギー疾患の発生率を減らすとまとめられます。
■ ただし、Lactobacillus rhamnosus GGは、多くの種類がある乳酸菌であり、これがいいと決めることが出来ない菌株とも言えます。
プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎発症予防に対する反対意見
■ プロバイオティクス(乳酸菌製剤)が、アトピー性皮膚炎を予防できるかもしれないというメタアナリシスがあることは上に示したとおりですが、最近コホート研究で1歳未満でのヨーグルトの定期的な摂取がアトピー性皮膚炎予防に働く可能性があることも報告されており、「コンビネーション」も大事なのかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅低アレルゲンミルクと乳酸菌製剤を同時に乳児期から摂取するとアレルギー疾患を減らすかもしれない。