Morita F, et al. Comparative efficacy of goreisan and probiotics in Japanese adults with acute infectious gastroenteritis: Randomized controlled trial. Traditional & Kampo Medicine 2017.
漢方にもランダム化比較試験はあります。
■ Abstractのみですが読んだのでUPしてみます。
■ 漢方薬のJournalですが、RCTで検討されています。
■ 私は、普段の診療で漢方薬を処方することがあります。しかし、エビデンスレベルが高い報告が増えてきたものの、漢方薬のエビデンスはまだ十分ではありません。
■ 今回、感染性胃腸炎に対する五苓散とプロバイオティクスの効果を、ランダム化比較試験で比較した研究をみつけたのでご紹介致します。
E:五苓散内服 24人
C:プロバイオティクス(ビフィドバクテリウム属)内服 25人
O:プライマリアウトカム: 下痢と嘔吐の持続期間と頻度
セカンダリアウトカム:嘔気、腹痛、熱、疲労感、食欲不振を含む随伴症状の持続期間
結局、何を知りたい?
✅成人の急性胃腸炎時に五苓散と乳酸菌製剤の、どちらが有効かを知ろうとしている。
結果
■ 下痢と嘔吐の継続時間と発現頻度は、五苓散とプロバイオティクス群に有意差を示さなかった。
■ セカンダリアウトカムである、食欲不振(中央値2日;範囲1-5日 vs 2.5日 範囲 1-5日、P = 0.01)、腹痛(中央値2日;範囲 1-5日 vs 3日 範囲 1-5日、P = 0.02)は、プロバイオティクス群より五苓散群のほうが有意に短期間だった。
結局、何がわかった?
✅五苓散は、プロバイオティクスに比較し、下痢や嘔吐の期間は短縮しなかったが、食欲不振、腹痛の期間は短縮した。
五苓散は、整腸剤より早期に胃腸炎症状を改善する。
■ 五苓散は、胃腸炎の下痢や嘔吐の症状は短縮しないものの一般症状を早期に改善する可能性があるとまとめられます。しかし、一般臨床では嘔吐や下痢の期間も短縮する印象を持っていたので少し意外でした。
■ 五苓散と整腸剤を併用する事もできますし、この場合、「どちらが良いか」というより、「両方処方します」の方が、より良いのではないでしょうか。
■ エビデンスを重視する医療には、漢方薬がやや馴染みにくい部分もありますが、私は、漢方薬は西洋薬でうまく治療がすすまない場合も、「次の一手」が取れることがあり、大きいアプローチ手段と思っています。
■ エビデンスのみに傾倒せず、一方エクスペリエンスのみでの診療も行わない、西洋医学のみに固執せず東洋医学もいいところはハイブリッドで導入する、という医療が理想かなあと思います。あくまで理想ですけど、、、
今日のまとめ!
✅五苓散は、嘔吐・下痢の期間は短縮しないが、随伴症状を短縮する。