Chiriac AM, et al. Prevalence of sensitization and allergy to potato in a large population. J Allergy Clin Immunol Pract 2017; 5:507-9.
めずらしいジャガイモアレルギーの論文。
■ ジャガイモアレルギーは、実際にはそれほど多く診察することはなくて、せいぜい口周囲の紅斑や、口腔アレルギー症状くらいの印象です。
■ ただ、検査をすると感作していることもママあり、対応に苦慮する場合があります。
■ あまり文献もないので、最近publishされていたジャガイモアレルギーの文献を読んでみました。
■ 論文はフリーで全文が閲覧可能ですので、すこし詳しめにご紹介いたします。
女性1304人[66.1%]と成人(18歳以上が85.4%、範囲2-94歳)
E:-
C:-
O:生および料理されたジャガイモに対する皮膚テスト陽性率と交差抗原
結局、何を知りたい?
✅ジャガイモアレルギーの感作率と特徴を知ろうとしている。
ジャガイモアレルギーを、2000人もの人数で感作・症状を確認。
■ アレルギー性喘息および/または鼻炎、食物または薬物アレルギーの診断目的で受診した2歳以上のすべての患者はこの研究に関与した。
■ Prick to Prickテストは、ランセット針を使用して行われ、生と料理された(15分間茹でる)ジャガイモで実施された。
■ アトピーは、少なくとも1種類の吸入アレルゲンに対する皮膚プリックテスト陽性と定義された。
■ 病歴として、湿疹は16.8%、食物アレルギーは14.1%に認められた。
■ シラカバ、ヨモギ、ブタクサ花粉に対する感作は、それぞれ9.1%、9.8%、7.1%だった。
■ 2000人の被験者で、203人が生もしくは料理されたジャガイモに感作されていた(10.1%; 95%CI 8.8%-11.4%)。
■ 128人(6.4%)は生ジャガイモに対してのみ感作し、1.6%のみ料理されたジャガイモに感作し、2.1%が両方ともに感作していた。
■ 27人(全体の1.3%&感作している患者の13.3%)は、摂取またはジャガイモとの接触症状を報告し、全員ジャガイモに感作されていた。
■ 27人中15人は、ジャガイモの皮を剝くときに、接触そう痒/じんま疹/湿疹または鼻結膜炎があると報告し、残り12人は料理されたジャガイモ摂取したときに消化器症状(嘔気、下痢、腹痛)を報告した。
■ アナフィラキシーは認められなかった。
■ シラカバ(オッズ比[OR]4.49; 95%CI 2.74-7.38; P < .0001)、ブタクサ(OR 3.45; 95%CI 2.01-5.92; P < .0001)、プラタナス(OR 2.21; 95%CI 1.32-3.71; P=.002)に対する感作は、ジャガイモ感作に対する独立危険因子であった。
■ 非アトピー性患者(n=20)は、ジャガイモに感作されるていたが、アトピー性患者より有意により少なかった(OR 0.40; 95%CI 0.21-0.77 ; P=.006)。
■ 単一の感作はジャガイモ感作のリスク因子ではなかったが、多種抗原感作(少なくとも2種類の吸入アレルゲンに対するSPT陽性が)は有意に、ジャガイモSPT陽性であるリスク因子になった。
■ 多種花粉抗原感作(少なくとも2種類の花粉に対するSPT陽性(OR、4.53; 95%CI、1.85-11.06; P < .0001)は、アレルゲンを限定しない多種抗原感作(OR、3.65; 95%CI、1.70-7.82; P < .0001)と比較してリスクの増加がやや高かった。
結局、何がわかった?
✅ジャガイモアレルギーを成人・小児の多数で確認したところ、10.1%が感作されていた。
✅6.4%は生のジャガイモに対してのみの感作で、料理したジャガイモに感作されていたのは1.6%だった。
✅実際に症状が出たのは、全体の1.3%、感作されている患者の13.3%に過ぎず、接触性のかゆみやじんましん、消化器症状程度であり、アナフィラキシーはなかった。
✅シラカバ・ブタクサ・プラタナス花粉の感作がリスク因子だった。
ジャガイモの感作は良くあるようだが、実際に症状があるのは一部であり、アナフィラキシーを起こすことはあまりなさそうだ。
■ジャガイモは西欧諸国の食事では、非常に一般的な成分であり、通常4~6ヵ月時から開始される離乳食の1つなのだそうです。しかしながら、ジャガイモ感作とアレルギーは、大規模集団で調査されてこなかったそうです。
■ ジャガイモに対する感作は研究集団の10分の1でしたが、ジャガイモに対する独立したアレルギーの指標にはならず、むしろ他の植物に対する交差感作ではないかと述べられています。
■ プラタナスとブタクサ(本研究におけるでジャガイモ感作に対する独立危険因子)は、lipid transfer protein(Pla 3、Amb 6)を含むことから、推測されています。
■ 最終的に、すべての患者はジャガイモ摂取を続けたそうです。
今日のまとめ!
✅ジャガイモの感作は珍しくないが、実際に症状があるのは1割程度で、アナフィラキシーを起こすことは稀といえそうだ。