Kiykim A, et al. Could Sublingual Immunotherapy Affect Oral Health in Children with Asthma and/or Allergic Rhinitis Sensitized to House Dust Mite. Int Arch Allergy Immunol 2017; 174:52-6.
舌下免疫療法が口の中の健康を損なうかも、、?
■ 舌下免疫療法(Sublingual Immunotherapy; SLIT)とは、舌下にアレルゲンを投与することでアレルギー症状を改善させようとする治療です。
ダニ舌下免疫療法は発作再燃を少なくする: ランダム化比較試験
■ 本邦でも、ダニ・スギに保険適応が下りています。
■ 今回の報告は少し斜め上の検討ですが、SLITがう歯(虫歯)に影響するかどうかを検討したものです。
喘息および/または鼻炎の小児18人と、健常対照31人に関し、SLIT前後のう歯の状態を調べた。
背景
■ 舌下免疫療法(SLIT)は、IgE依存性呼吸器アレルギーにうまく用いられている。
■ しかしながら、SLIT実施中の舌下領域における免疫応答の調節が、口腔内の健康に何らかの有害な効果を有するか否かは不明である。
■ そこで、ハウスダストダニのSLITを受けている小児に対し、口腔内の健康を前向きに検討することを試みた。
参加者と方法
■ アレルギー性喘息および/または鼻炎の小児18人と、年齢が一致した健常対照(HC)31人は、オープンラベル試験に参加した。
■ 口腔内の健康状態は、乳歯(dmft)および永久歯列(DMFT)、およびプラークおよび歯肉指数について、未処置う蝕歯、欠喪失歯(う蝕が原因で抜去された歯)、う蝕が原因で処置された歯を採点することによって評価した。
■ さらに、う歯を誘発する食物摂取および歯磨き習慣を、試験開始時と19ヶ月目に確認された。
結果
■ SLIT参加者の平均年齢は9.5±3.1歳であり、HCの平均年齢は9.2±3.7歳だった。
■ SLITの平均実施期間は19.13±3.81ヶ月だった。
■ 試験開始時、dmftとDMFTの合計指数はSLIT群とHC群で同等であり(p> 0.05)、全体的に衛生状態が悪かった。
■ 19カ月時の群間比較では、SLIT群は、試験開始時と比較して、乳歯のう歯の数が少なく、う蝕が原因で処置された乳歯の数が多かった(それぞれp = 0.027およびp = 0.058)。
結論
■ 我々の研究では、19ヶ月間のフォローアップ期間中にSLITが口腔健康に有害な影響を及ぼさないことが示された。
■ 我々のコホートは、試験開始時に全体的に口腔衛生が悪かったため、SLITを実施される保護者は歯科保健サービスを利用して新しいう蝕を予防するよう動機付けられるべきである。
結局、何がわかった?
✅舌下免疫療法(SLIT)群のほうが虫歯の数はすくなく、処置された歯の数が多かった。
舌下免疫療法は虫歯の原因にはならないようだ。
■ SLITは本邦でも適応がおり、5歳以上に適応が拡大されることも期待されています。今後、さらに普及するでしょう。
■ その際の「虫歯になりやすいか?」という質問(されるかな??)にお答えする根拠になるでしょう。
■ むしろ、始める前に口腔内の健康チェックをしていただいた方がよさそうですけど、、、。
今日のまとめ!
✅舌下免疫療法(SLIT)は虫歯の原因にはならないが、先に口腔内のチェックをしてからのほうがよさそうだ。