ピーナッツ経口免疫療法に関する標準的な製剤が作成されようとしている

Bird JA, et al. Efficacy and Safety of AR101 in Oral Immunotherapy for Peanut Allergy: Results of ARC001, a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Phase 2 Clinical Trial. J Allergy Clin Immunol Pract 2017.[Epub ahead of print]

食物アレルギーに対する免疫療法に関して、標準的な製剤が求められています。

■ 今、やや切羽詰まった仕事もあるのですが、こうなったら維持でブログの更新も頑張ります(そんなに期待されていない?!すいません)。無理してつまらない論文紹介になっても本末転倒なんですけど、その仕事にも関連した論文のUPにしていきたいと思います。勉強は嫌いなので、こういう負荷がないと私のような怠け者はすぐ失速しますから。

■ さて、「標準的」というのは、「誰が使っても同じように使える」「一般的な」といった意味です。

■ 食物アレルギーの治療として、経口免疫療法という「少しずつ食べる」といった方法が試みられることがあります。

■ しかし、そのための「標準的製剤」はないのが問題点の一つです。

 

 AR101という、ピーナッツ抗原を用い、免疫療法を実施した。

背景

■ ピーナッツ経口免疫療法は、様々なアプローチを用いてピーナッツアレルギーの脱感作を誘導することが示唆されている。

■ しかし、臨床使用における承認された製品はなかった。

 

目的

■ 新規経口医薬品であるAR101の安全性と有効性を評価するため、第1フェーズ、第フェーズ多施設試験を実施した。

 

方法

■ 無作為化二重盲検プラセボ対照試験が米国の8施設で実施された。

■ 対象は、ピーナッツに感作され、スクリーニングのための二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)でピーナッツタンパク質≦143mgまでに陽性症状を示した4〜26歳の患者であった

■ 被験者を1:1のAR101群またはプラセボ群に無作為に割り付け、0.5〜300mg /日まで徐々に漸増投与した。

■ プライマリエンドポイントは、DBPCFCの最終負荷で443mg(累積ピーナッツタンパク質)で症状がない、もしくは軽症である参加者の割合だった。

 

結果

■ 55人の被験者(AR101群 29人,プラセボ群26人)が登録された。

■ intention-to-treat解析では、AR101群それぞれ443 mgおよび1043 mgに対して 29人中23人(79%)および29人中18人(62%)が耐性を示した。

■ 一方、プラセボ群はそれぞれ26例中5例(19%)、 26人中0人(0%)の耐性だった(いずれもP <.0001)

■ プラセボと比較して、AR101は、DBPCFCにおける症状重症度を有意に低下させ、ピーナッツ特異的な細胞性もしくは体液性免疫応答を調節した。

■ 胃腸症状により、AR101被験者6人(21%)が研究中止し、そのうち4人が主に再発性胃腸症状に起因していた。両方のグループにおい最も一般的な治療関連有害事象であった。

 

結論

■ AR101は許容可能な安全性プロフィールを持っていた。

■ 4歳以上のピーナッツアレルギーの小児、青年、若年成人における潜在的な免疫治療の選択肢としての臨床応用の可能性が実証された。

 

結局、何がわかった?

 ✅ピーナッツ免疫療法の標準的な製剤として、AR101が開発されている。

 ✅ランダム化比較試験において、治療は有効であり、安全性も許容範囲と考えられた。

 

 

実際に医療用に使うためにはハードルは多いでしょうが、治療の標準化はとても重要です。

■ スギ花粉症の緩和米は、とても期待されていたにもかかわらず、「医薬品」となるためにはハードルが多く高かったため、いまだに実用化には達していないと聞きます。

■ こういった食品と医薬品のボーダーラインにあるものは、なかなか本邦での実用化は困難かもしれないかもと懸念はありますが、標準化はどうしてもクリアしなければならない壁だと思います。

 

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今日のまとめ!

 ✅食物アレルギーの免疫療法に関し、今後標準化の動きが進むかもしれない。

 

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