Yonezawa K, et al. Effects of moisturizing skincare on skin barrier function and the prevention of skin problems in 3‐month‐old infants: A randomized controlled trial. The Journal of Dermatology 2017.[Epub ahead of print]
新生児期からの保湿ケアが注目されています。
■ 新生児期からの保湿ケアは、アトピー性皮膚炎の予防に効果があることが判明し、いつの間にか多くの医療機関で実施されるようになりました。
新生児期からの保湿剤定期塗布はアトピー性皮膚炎を予防する: ランダム化比較試験
■ しかし、この結果はハイリスク児に対する検討でした。そして最近、健常児を含めた生後3ヶ月までの検討が、本邦から発表されました。
生後1週間から新生児227人が参加し、保湿ローションなし群とあり群で生後3ヶ月までの皮膚状態を比較した。
■ 効果的な新生児スキンケアプロトコルが確立されていない。
■ 我々は、ローションの使用や日常の入浴を少なくするといった、保湿スキンケアの効果を評価することを目的とした。
■ 我々は、保湿スキンケアが皮膚バリア機能を改善すると仮定した。
■ このランダム化比較試験には、生後1週間から生後3カ月まで健康な新生児227人が参加し、ローションを使用せず毎日入浴する群114人(対照群)、保湿スキンケア介入群113人(2日おきの入浴、毎日のローション使用)を比較した。
■ 3ヶ月目のプライマリアウトカムとして、皮膚バリア機能(経表皮水分蒸散量(TEWL)、角質水分量[SCH]、皮膚pH、皮脂分泌)を評価し、また、両親による日誌に基づいた皮膚の問題の発生率を確認した。
■ 介入群は、対照と比較して、顔のTEWLがより低値で(平均±標準偏差、14.69±7.38 vs 17.08±8.26g / m2、P = 0.033)、顔面のSCHがより高値で(60.38±13.66 vs 53.52±14.55、P = 0.001)、体幹のSCHがより高値(58.89±12.96 vs 53.02±10.08、P <0.001)だった。
論文から引用。介入群は皮膚バリアの指標がより改善している。
■ さらに、介入群は対照と比較し、生後1カ月のおむつ皮膚炎率が有意に低く(6.3% vs 15.9%、P = 0.022)、生後1〜3カ月における皮膚のトラブルがが低い傾向だった(42.1% vs 55.2%、P = 0.064)。
■ 保湿スキンケアは、皮膚のバリア機能を改善し、新生児のおむつの皮膚炎を予防するのに有効だった。
■ この研究結果は、両親が新生児のスキンケアに関する情報に基づいた決定を行うのに役立つ。
結局、何がわかった?
✅生後1週間からの保湿スキンケアは、生後1ヶ月のおむつ皮膚炎が少なく、3ヶ月までの皮膚のトラブルが少ない。
✅生後1週間かたの保湿スキンケアは、生後3ヶ月での皮膚バリア指標も有意に改善する。
新生児期からのスキンケア指導に役立つでしょう。
■ 上にあげた、アトピー性皮膚炎発症予防研究は、あくまでアトピー性皮膚炎ハイリスクの児に対する検討で、今回の検討は、ハイリスクだけではない対象です。
■ 保湿ケアは、今後のアトピー性皮膚炎予防に関して、さらに普及してくるのではないかと思われます。
■ ただし、アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能が低下しているところに、繰り返しの刺激があると、不可逆性のスイッチが入り、発症してくることが示唆されています。
■ 私は、発症前の保湿ケア+はやめの丁寧な治療の二段構えが必要になるかと考えています。
※ この研究で使用されていたのは、以下の市販の保湿剤でした。
今日のまとめ!
✅健常新生児に対する保湿スキンケアは、皮膚トラブルをやおむつ皮膚炎の発症を減らす。