吸入ステロイド薬は骨折リスクを上げない

Gray N, et al. Association Between Inhaled Corticosteroid Use and Bone Fracture in Children With Asthma. JAMA pediatrics 2017. [Epub ahead of print]

 吸入ステロイド薬は、骨折を増やすのか?

■ 以前、少数の症例対照研究で、吸入ステロイド薬(ICS)が骨折のリスクを上げないという結果をご紹介いたしました。

■ 今回はJAMA Pediatricsからで、公的な健康保険のデータベースから、ICSが子どもの骨折リスクを上げるかどうかを確認した研究結果です。

 

 

健康保険データベースなどを利用して、喘息児19249人をピックアップし、吸入ステロイド薬の使用と骨折の関連を検討した。

重要性

■ 小児の軽症持続性喘息のための吸入ステロイド(ICS)の毎日の使用は、広く推奨される治療法である。

■ しかし、全身性ステロイド薬と同様に、ICSのは骨の健康に悪影響を及ぼすことが懸念されている。

 

目的

■ 喘息児における吸入ステロイド使用に伴い骨折の危険性が高まるかを確認する。

 

デザイン、セッティング、参加者

■ この集団ベースのコホート内症例対照研究は、2003年4月1日から2014年3月31日の間の、医師診断された喘息のある2歳~18歳の小児集団を特定するため、健康管理データベースを使用した。

■ 喘息児は、Ontario Drug Benefit Program (オンタリオ州、カナダ)を通して、公的健康保険を通して確認された。

喘息診断後の初めての骨折症例を、生年月日(1年以内)・性別・喘息診断時年齢(2年以内)に基づいて、骨折のない対照群をマッチさせた(1対4の比)

■ さらに、吸入ステロイドの使用履歴を確認するために1年間の振り返り期間を設定した。

■ 骨折に対し、95%信頼区間を有するオッズ比(OR)を得るために、多変量条件付ロジスティック回帰を使用し、吸入ステロイド非使用群と、吸入ステロイド薬の現在、最近、過去の使用群とを比較した。

 

曝露

■ 過去1年間の振り返り期間中の吸入ステロイド使用は、現在の使用、参照日前90日未満、最近の使用(91〜180日)、過去の使用(181〜365日)として確認された。

 

主なアウトカムと検査

■ 喘息診断後、骨折のための初めての救急受診を、疾患の国際統計分類および関連する健康問題、第10改訂コードを用いて確認した。

 

結果

■ この調査には、19420人の小児(男児61.0%;子供のうち最も多い群 6〜9歳の31.5%)が含まれていた。

■ 社会人口統計学的因子と他の薬物使用で調整した多変量回帰を実施した。

■ 結果として、喘息診断後の初めての骨折と吸入ステロイド薬(ICS)に関し、ICSの非使用群と比較して、ICSの現在の使用群(OR、1.07; 95%CI、0.97-1.17)ICSの最近の使用群(OR、0.96; 95%CI、0.86-1.07)ICSの過去の使用群(OR、1.00; 95%CI、0.91-1.11)に有意な関連は示されなかった

■ しかし、1年間の振り返り期間に全身性ステロイドを使用した場合、骨折の確率は高まった(OR、1.17; 95%CI、1.04-1.33)

 

結論と妥当性

■ 吸入ステロイド薬ではなく全身性ステロイド薬が、小児喘息集団における骨折のオッズの増加と有意に関連していた。

 

結局、何がわかった?

 ✅吸入ステロイド薬を使用している喘息児に関し、ICSの非使用群と比較して、ICS使用は骨折リスクと有意な関連はなかった。

 ✅しかし、全身性ステロイドを使用した場合、骨折の確率は1.17倍に有意に高まった。

 

 

吸入ステロイド薬は骨折リスクを上げないが、全身性ステロイド薬は骨折リスクを増やす。喘息における吸入ステロイド薬の適正使用を考えさせる報告でしょう。

■ 喘息児に対する吸入ステロイド薬(ICS)の使用が骨折のリスク増加と関連するかどうかを検討した報告。

■ ICSは、わずかに身長抑制に関連することが判明してきており、心配される患者さんもいらっしゃいます。

■ しかし、ICSを心配するあまり、使用せず、喘息発作を繰り返して全身性ステロイド薬(内服や点滴)の使用が増えることは本末転倒であるかもしれません。

■ ICSの適正使用はもちろんです。環境整備や肥満への介入の重要性や、必要最小限の投与量を考える理由をよく考えていかなければならないでしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児喘息に関し、吸入ステロイド薬の使用は骨折リスクを関連しなかったが、全身性ステロイド薬の使用は、骨折リスクを増加させる。