CRD(蛋白質のコンポーネントごとに検討する手法)は、現在注目されています。そのうち、大豆蛋白のコンポーネントがGly m4。
■ Component-Resolved Diagnosis (CRD)とは、食物の蛋白質を、種類ごとにわけてアレルゲン性を検討して、診断に役立てようというものです。
■ 卵白におけるオボムコイド、小麦におけるω5グリアジンがそれにあたります。
■ まだまだ発展途上の診断方法ではありますが、最近、大豆に関してGly m4が保険適応になりました。
Berneder M, et al. Allergen chip diagnosis for soy-allergic patients: Gly m 4 as a marker for severe food-allergic reactions to soy. International archives of allergy and immunology 2013; 161(3): 229-33.
大豆アレルギーを発症しているシラカバ花粉(BP)環境からの20人の血清から、IgE反応性(大豆、Gly m4、Gly m5、Gly m6)を評価した。
背景
■ Gly m 5およびGly m 6は、大豆アレルギー患者において重篤な反応を誘発することが知られている。
■ シラカバ花粉( birch pollen ; BP)アレルギー患者の場合、Bet v 1に相同性のあるアレルゲンであるGly m 4は、大豆摂取時に全身性の重篤な反応を来す潜在的な誘因でもある。
■ したがって、大豆アレルギーにおける、信頼性の高いコンポーネントによる診断( component-resolved diagnosis ;CRD)が必要である。
方法
■ すでに大豆アレルギーを発症しているシラカバ花粉(BP)環境からの20人の血清から、IgE反応性を評価した。
■ BPおよび大豆飲料を用いた皮膚プリックテスト(Skin prick tests;SPT)を実施した。
■ BP、大豆、Bet v 1、Gly m 4に対する特異的IgEをImmunoCAPを用いて分析した。
■ さらに、ISACマイクロアレイによるプロファイリングを行った。
結果
■ 20人のうち19人がBPアレルギー(BP抽出物およびBet v 1においてSPT陽性および/またはImmunoCAP陽性)だった。
■ 大豆アレルギー患者18人は、大豆飲料によるSPT陽性だった。
■ 大豆ImmunoCAPの結果は、ほとんどが陰性だった(20人中15人)が、20人中19人が血清Gly 4特異的IgEが陽性だった。
■ マイクロアレイ法では、20人中14人の血清Gly 4特異的IgE陽性であり、6人の血清は0.3 ISAC標準化単位未満だった。
■ BP陰性の血清は、大豆ImmunoCAP陽性と相関した、Gly m 5およびGly m 6特異的IgEを有していた。
結論
■ 皮膚プリックテスト(SPT)およびGly m 4 ImmunoCAPによって検出された大豆感作は、ISACの結果と良く一致した。
■ 大豆ImmunoCAP陽性は、Gly m 5とGly m 6感作にのみ特異的だった。
■ Gly m 4 ImmunoCAPは、ImmunoCAP ISAC法よりも感度が高かった。
■ この患者集団では、Gly m 4に対する感作は、大豆摂取時時の重篤で全身性のアレルギー反応の発症と関連していた。
結局、何がわかった?
✅皮膚プリックテスト(SPT)およびImmunoCAP(一般的な特異的IgE検査)によるGly m 4で検出された大豆感作は、ISACの結果と良く一致した。
Gly m4は、豆乳で症状が出る場合に検査を考慮するものと思っていました。
■ Gly m4は成人で、豆腐を食べても問題がないのに豆乳は症状があるような場合に検査をします。
■ と、思っていたのですが、最近低年齢児でも豆腐で症状があり、Gly m4が陽性、という場合も増えて来たので、論文を探したところみつけた報告。Gly m4は、もう少し勉強しないといけないようです。
今日のまとめ!
✅皮膚プリックテストやGly m4特異的IgE抗体価は、ISAC検査と良く一致する。