妊娠中の魚油摂取は、児の喘鳴や下気道感染のリスクを減らすかもしれない

Bisgaard H, et al. Fish oil–derived fatty acids in pregnancy and wheeze and asthma in offspring. New England Journal of Medicine 2016; 375:2530-9.

魚油は、アレルギー性炎症を減らす可能性がある。

妊娠中や乳児期の魚油摂取が、アレルギー疾患の予防に有効かもしれないという報告は、いくつかのランダム化比較試験で示されています

妊娠中の魚油摂取は、小児期の喘息を減らすかもしれない: ランダム化比較試験

乳児期の魚油摂取は、食物アレルギー発症リスクを減らすかもしれない

■ 今回は、同様の検討ですが、NEJMからの報告です。

 

妊娠24週(第三半期)から魚油(n-3系長鎖多価不飽和脂肪酸)を出産まで内服し、児の3歳までの喘鳴や喘息発症のリスクを調査した。

背景

■ n-3系長鎖多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids; LCPUFA)の摂取量が減ると、喘鳴の有病率の増加する可能性がある。

■ そこで、妊娠中の女性に対し、n-3 LCPUFAのサプリメントが、その子どもの持続性喘鳴や喘息のリスクに効果があるかを評価した。

 

方法

妊娠24週の736人の妊婦に、n-3LCPUFA(魚油)を1日2.4gまたはプラセボ(オリーブ油)を内服するようにランダム化した。

■ 児は、Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010(COPSAC2010)コホート試験で、広範な臨床的フェノタイプ調査を予定していた。

■ 治験責任医師も参加者も、児の3歳までのフォローアップ中にグループ割り当てを認識しておらず、その後2年間のフォローアップ期間中は、研究者だけがグループの割り当てを知らされていなかった。

プライマリエンドポイントは持続性喘鳴または喘息であり、セカンダリエンドポイントには、下気道感染、喘息増悪、湿疹、アレルゲン感作が含まれた

 

結果

計695人の児が参加し、95.5%が3年間のダブルブラインドの追跡調査期間を完了した。

n-3LCPUFA内服群における持続性喘鳴または喘息リスクは16.9%、対照群で23.7%であり、ハザード比 0.69 (95%信頼区間[CI] 0.49〜0.97; P = 0.035)であり、これは30.7%の相対的減少だった。

■ あらかじめ決められていたサブグループ分析では、ランダム化された集団におけるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の血中濃度が下位1/3である妊婦において、LCPUFA内服の効果が最も高く、持続性喘鳴または喘息リスクが内服群 17.5% vs 対照群 34.1%(ハザード比0.46,95%CI、 0.25~0.83; P = 0.011)だった。

■ セカンダリエンドポイント解析は、n-3LCPUFA内服が、下気道感染症のリスクの低下と関連していることを示唆した(内服群 31.7% vs 対照群 39.1%; ハザード比 0.75; 95%CI 0.58-0.98; P = 0.033 )が、内服は、喘息増悪、湿疹、アレルゲン感作には統計的に有意な関連はなかった。

 

結論

妊娠第3トリメスターのn-3 LCPUFA内服は、持続的喘鳴または喘息のリスクを低下させ、児の下気道感染を約7%ポイント、または相対的に1/3減少させた。

 

結局、何がわかった?

 ✅妊娠24週の736人の妊婦に、n-3LCPUFA(魚油)を内服させると、児の3歳までの持続性喘鳴または喘息リスクをハザード比 0.69 (95%信頼区間[CI] 0.49〜0.97; P = 0.035)に低下させた。

 ✅その効果は、n-3LCPUFAの血中濃度が低い群が特に有効だった。

 

 

魚油(もしくは魚)摂取はアレルギー性の炎症を減らし、出生後の児の喘鳴の発症を減らすかもしれない。

■ 同じような報告は、多くなってきています。

■ ただ、同様の報告で、1歳まで有意差があるものの、3歳、6歳では有意差が消失したという報告もあります。

妊娠中の魚油摂取は1歳でのアレルギー疾患を予防するが3歳では有意差が消失する: ランダム化比較試験

■ 一般診療で、「魚を積極的に摂取したほうがいい」という推奨は、悪くなさそうですが、長期的な効果の評価が今後必要なのかもしれませんね。

 

 

今日のまとめ!

 ✅妊娠後期から魚油を内服すると、児の喘鳴リスクを減らすかもしれない。

 

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