スミスリン耐性アタマジラミ症の治療に対応するにはどうするか? (講演で聴講した内容の抜粋)
一般診療でも、アタマジラミを診ることは少なくない。
■ アタマジラミは、日常診療で決してめずらしくない寄生虫のひとつです。
■ アタマジラミの雌は、一生で100個卵を生むので、1匹逃しただけで、再度大きく増加する可能性があります。集団生活では問題となりやすいです。
■ スミスリンはOTC (店頭で購入できる薬)としてアタマジラミに対して使用され、現状では日本唯一のアタマジラミ駆虫薬です。このスミスリンシャンプーを適切に使用すればほとんどのアタマジラミ症は改善します。
■ 一方、スミスリン抵抗性アタマジラミ症が、一部の地域で問題となってきています。特に沖縄ではスミスリン抵抗性アタマジラミ症がほぼ100%になってきているそうです。
■ ある講演で、このスミスリン抵抗性アタマジラミ症の対策についてお聞きしました。今後、自分自身の診療に役に立つかもしれないと思い、備忘録として記録します。
スミスリン抵抗性アタマジラミ症に対応できるようになったといえ、大きな朗報といえます。
■ 今回の情報は、あくまで講演を聴講して知った内容です。ですので、このブログの趣旨である「出典の明らかな情報ではない」ことにご留意ください。
■ また、講演内容を書き写しながらの内容(学会講演は原則写真不可です)で、ブログ管理人の専門領域でもないため、正確性を欠く可能性もあります。
■ OTC(店頭で購入可能な薬)の紹介もしておりますが、その際は必ず医師、薬剤師にご相談の上でご購入ください。
アタマジラミの耐性進行。
■ スミスリンは、アタマジラミに対して3回の使用ででほぼ駆虫できる優れた薬剤であるが、1990年代から欧米から耐性が進んできている。
■ 耐性は、遺伝子が3カ所の点突然変異することで獲得され、全国的には概ね10%未満と考えられているが、地域差がある。特に、沖縄は95%耐性であることが調査で判明している。
■ 遺伝子変異に関しては、一般には検査が不可能であるが、通常通り使用してきかなければ耐性と考えて良いと思われる。
スミスリンシャンプー以外の治療法。
専用ぐしで除去
■ 毎日もしくは1日おきに12~14日間使用することで、治癒率38%~53%という報告がある。
■ 髪を短くすることも有効。
■ しかし、毎日実施すると大変であること、結構痛いため、お子さんの我慢と保護者の忍耐を要する。
ジメチコン
■ シャンプーなどのヘアケア製品などに含まれ、アタマジラミの腹部にある空気の通り道である気門を閉塞させて効果が出る。
■ Amazonで購入可能で、海外で購入するよりは高価になっているようだが、2500円程度で手に入る(「LiceMD」でヒットする)。
■ ジメチコンの濃度は色々で100%もある。しかし、濃度が何%以上で効くというデータはないよう。市販のシャンプーにも含有されている濃度で効果があるかどうかもわからない。
■ 気門を閉塞させて効くなら、ワセリンなどで閉塞させることも可能かという疑問もあるが、確実な効果が証明されているのがジメチコンなのだそうだ。
管理人注;Amazonで手に入る海外輸入品は、まま偽物のこともあるので注意。しかし、他では手に入りにくいです。いずれ本邦でも手に入りやすいOTCになることを願います。
スミスリンローション
■ スミスリンシャンプー(OTC)に比較して12倍濃度であるため使用してみたが、無効だったそうだ。
イベルメクチン内服
■ 疥癬に対する使用量の倍量で使用した報告がある。1週間おきの2回内服で治癒率95%だった(疥癬と同量でもいいかもというお話だった)
■ ただし、アタマジラミには保険適応ないことや、小児には安全性の面から使用しずらい。
■ 一方、卵のふ化までの期間を考えると、内服間隔に関しては検討を要する。
イベルメクチンローション
■ インターネットで手に入る。濃度から考えると内服のイベルメクチン換算で相当量が含有されているため高価(約3万円)であるが、10分間の塗布1回で治癒するそうだ。
■ 駆虫率は74%という報告があるが、きちんとつかえばほぼ全員効くそう。
ベンジルアルコールローション
■ 使用されることがあるようだが、詳細は聞き逃したので割愛。
アース製薬開発中のOTC外用 (医者主導治験中)
■ 良く効くが、詳細はまだ治験中なので公表できないそう。期待できそうだとのこと。
スミスリンシャンプープレミアム
■ 沖縄とネットで発売開始されているが、今のところうまく駆除できていない印象だそう。
スミスリン耐性のアタマジラミに対する対応。あくまで個人的な備忘録です。医師に相談の上、ご考慮ください。
■ 今回は、「出典が明らかな情報」ではなく、講演で聴講した内容です。情報は耳学問の範囲なので、あえて講師のお名前はだしていません。
■ おそらく今後、自分自身が患者さんの治療をする際に知っておかなければならないと思い、備忘録として記録しました。今回は、その内容を共有させていただくこととしました。
■ 個人的にはジメチコンが有用そうだと思いました。なお、間違った情報として、毛染め薬が効くというのはデマ、と紹介されていました。
■ 共有させていただいた理由は、アタマジラミに対する治療薬剤が今まではスミスリンしかなく、作用機序の異なる別のアプローチがなかったことが問題であると思うからです。点突然変異で耐性化するのならば、遠くない未来に耐性化することが既定路線です。もし他の手法があるのならば、一般診療に使えるようになればより良い未来が待っているはずです。
■ ただ、今回の情報に関して実施する場合は医師とよく相談の上、行ってください。医師の皆さんも、あくまでスミスリン耐性の場合の次の手として、こういうものがあるのだという参考にとどめていただき、皆様の裁量の範囲で考えていただければ幸いです。
今日のまとめ!
✅スミスリン耐性アタマジラミ症の対策に関して、備忘録として記録した。専用くし以外では、ジメチコンが一つの方法のようだ。