Silverwood RJ, et al. Severe and predominantly active atopic eczema in adulthood and long term risk of cardiovascular disease: population based cohort study. BMJ (Clinical research ed) 2018; 361: k1786.
アトピー性皮膚炎と全身性疾患。
■ 最近、アトピー性皮膚炎と全身性疾患(自閉症やAD/HDなど)の報告が増えている様に思います。
アトピー性皮膚炎のある387439人とマッチされたアトピー性皮膚炎のない1528477人に関し、心臓血管疾患(心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、心房細動、脳卒中、心臓血管死)のリスクを調査した。
目的
■ アトピー性皮膚炎のある成人に心臓血管疾患のリスクが増加しているかどうかおよび、アトピー性皮膚炎の重症度や状態の変化によりリスクが異なるかどうかを調査する。
試験デザイン
■ 集団ベースのマッチされたコホート研究。
セッティング
■ 臨床実践研究データリンク(Clinical Practice Research Datalink)や病院病歴統計からの英国の電子カルテおよび国家統計局(1998-2015)からのデータ。
参加者
■ アトピー性皮膚炎の診断を受けた成人と、年齢、性別、一般習慣、暦年齢でマッチされたアトピー性皮膚炎のない5人までの患者。
主なアウトカム指標
■ 心臓血管疾患(心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、心房細動、脳卒中、心臓血管死)。
結果
■ アトピー性皮膚炎のある387439人は、アトピー性皮膚炎のない1528477人とマッチされた。
■ 参加集団の年齢の中央値は43歳、女性が66%であり、追跡期間の中央値は5.1年だった。
■ マッチされた組で階層化されたCox回帰を用いることにより、アトピー性皮膚炎患者の致死的でない主要アウトカムの危険率が10%〜20%増加することが見い出された。
■ アトピー性皮膚炎の重症度と、強い用量反応性の関係があった。
■ 重症アトピー性皮膚炎の患者では、脳卒中リスクが20%(ハザード比1.22,99%信頼区間1.01〜1.48)、心筋梗塞、不安定狭心症、心房細動、心臓血管のリスクが40〜50% (ハザード比1.69、99%信頼区間1.38〜2.06)、心不全リスクが70%増加した (ハザード比 1.69, 99%信頼区間 1.38~2.06)。
論文から引用。
■ 最も活動性であるアトピー性皮膚炎(追跡中の活動性> 50%)は、心臓血管のリスクがより高かった。
■ 潜在的な因子における心血管リスク因子の調節を追加すると、重症アトピー性皮膚炎に関連は持続していたものの、推定値が一部低下した。
結論
■ 重症で活動性のアトピー性皮膚炎は、心臓血管疾患のリスク増加と関連している。
■ これらの患者は、心血管疾患の予防戦略の対象とするべきである。
結局、何がわかった?
✅重症アトピー性皮膚炎は、脳卒中リスクが20%、心筋梗塞、不安定狭心症、心房細動、心臓血管のリスクが40〜50%、心不全リスクが70%増加した。
アトピー性皮膚炎は、重症であると心血管疾患リスクが増加する。
■ アトピー性皮膚炎が全身性疾患に影響するエビデンスのひとつといえるでしょう。
今日のまとめ!
✅重症で活動性のアトピー性皮膚炎は、心臓血管疾患のリスク増加させる。