タクロリムス(プロトピック)軟膏は、10年に渡り観察しても悪性腫瘍の発生リスクをあげない(APPLES試験)

タクロリムス(プロトピック)軟膏に関して、『がんとの関連に関する説明の必要性』が撤廃されました。

■ タクロリムス(プロトピック)軟膏は、2003年から日本でも小児に使用できるようになりました。

■ ステロイド外用薬が、長期間おなじ場所に塗ると、皮膚の菲薄化(うすくなる)、毛細血管血管拡張などが発生することで問題を起こしやすいのに比べ、タクロリムス軟膏はそのような副作用がなく、多くのアトピー性皮膚炎患者さんに福音をもたらしました。

■ 一方で、『マウス塗布がん原性試験において、高い血中濃度の持続に基づくリンパ腫の増加が認められている。また、本剤使用例において関連性は明らかではないが、リンパ腫、皮膚がんの発現が報告されている。本剤の使用にあたっては、これらの情報を患者に対して説明し、理解したことを確認した上で使用すること。』という添付文書上の記載があり、普及の妨げになってきました。

■ 一方で、長期間の追跡調査で、そのことは『がんが起こる可能性はきわめて低い』ことがわかっており、むしろ『アトピー性皮膚炎の重症度そのものが悪性リンパ腫の発生因子の可能性がある』ことが明らかになっていました。

■ そしてようやく、12月8日にプロトピック軟膏の『がんとの関連の説明』が撤廃されました。

■ その原動力になった長期フォローアップ試験を共有します。

 

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

6週間以上タクロリムス外用薬を使用したアトピー性皮膚炎の小児7954人(9カ国314施設)を10年間フォローアップし、悪性腫瘍の発生率を年齢・性でマッチした集団と比較した。

 ✅ タクロリムス使用群と対照群(44,629人・年)において、悪性腫瘍の発生率に有意差なし(標準化罹患率 1.01; 95%信頼区間 0.37-2.20)。

 

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