6割以上の外用薬は、黄色ブドウ球菌で汚染されている

外用薬は、しばしば汚染されているという報告があります。では、どのような菌に、どれくらいの頻度で汚染されているのでしょうか?

ほむほむ
・・外用薬の容器には手をいれず、スプーンですくってくださいね、、!

あかちゃん
そんなん、めんどくさいからイヤじゃあ~!

ほむほむ
じゃあ、外用薬を顕微鏡でみてみましょうか?

あかちゃん
どれどれ、、、
!!!!!

うさみん
これ、全部細菌、、、?
しかも黄色ブドウ球菌!!

ほむほむ
まあ、普段こんなことはしないけど、外用薬はしばしば菌に汚染されるんだ。
そして、黄色ブドウ球菌を皮膚に塗ると、悪化の原因になることがわかっている。
気をつけた方がいい、という文献を紹介しよう。

 

Lundov MD, et al. Creams used by hand eczema patients are often contaminated with staphylococcus aureus. Acta dermato-venereologica 2012; 92:441-2.

手湿疹患者20人が使用したハンドクリームを収集し、菌の汚染に関し調査した。

背景

■ アトピー性皮膚炎および湿疹といった皮膚病変は、高密度に微生物、特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をしばしば保菌している。

■ アトピー性湿疹および手湿疹の重症度や持続は、黄色ブドウ球菌のコロニー形成に関連する。

■ 黄色ブドウ球菌は化粧品中で最も頻繁に認められる汚染物質の1つであり、黄色ブドウ球菌で汚染された化粧品は以前から皮膚感染の原因として同定されている。

■ 使用中の様々な種類の化粧品の汚染に関する研究では、ブドウ球菌属(Staphylococcus spp)、特に表皮ブドウ球菌が製品中に見出されている。

■ さらに、酵母や真菌(カンジダ属やアスペルギルス属)も、使用中の化粧品によく認められる。

■ この研究では、手湿疹の患者が使用するハンドクリームについての微生物汚染を調査し、特に黄色ブドウ球菌に焦点を当てた。

 

材料および方法

■ Gentofte病院に通院中の手湿疹患者20人が使用したハンドクリームを収集し、皮膚アレルギー科で定期的なパッチテストを受けた。

■ 欧州薬局方(6.5)からの実施要項(2.6.12)の各製品に存在する微生物数を定量するために、「非滅菌製品微生物学的検査:微生物目録試験」に従った。

 

(中略)

 

■ また、クリームの接触部分が汚染されているかどうかをテストした。

■ 少量のクリームはチューブの開口部またはジャー(軟膏壺)の端部から除去され、NaCl-ペプトン溶液1mlに懸濁した。

■ 溶液0.5および0.1mlを血液プレート上に拡散させて、37℃で5日間インキュベートした。

■ これらの単離体の特徴付け手順は、前の手順と同一であった。

 

結果

患者20人から計32の様々な製品、ジャー(軟膏壺)6つとチューブ26本が収集された。

■ 微生物は32製品中20製品(63%)で検出された。

■ 20製品のうち11製品(55%)において、クリーム自体から微生物が単離された。

■ クリームからは、各血液プレート上の少数の微生物(0〜10)しか単離できず、の正確なCFU / gの数値を計算することができなかった。

■ チューブの開口部とジャー(軟膏壺)の端部から、1製品を除き、汚染された20製品全てから微生物を検出した。

■ 全体として、49の微生物がクリーム自体から単離され、85の微生物がチューブの開口部もしくはジャー(軟膏壺)の縁から単離された。

■ そして、全134の分離株を特徴付けた。

グラム陽性球菌は、汚染された製品の18〜90%で検出され、グラム陽性および陰性桿菌、糸状菌、酵母は、汚染された製品の10〜30%で認められた

黄色ブドウ球菌は、20製品中6製品(30%)に見出され、これら6製品は3人の異なる患者から検出された。

■ 1製品は、目に見える汚染であり、ジャー(軟膏壺)の中で成長し、ジャー(軟膏壺)の縁のクリームが変色していた。

 

ディスカッション

製品の63%から微生物が単離され、汚染された製品の30%に黄色ブドウ球菌を認めた

微生物の大部分は、製品のチューブの開口部またはジャー(軟膏壺)の縁から分離された。

■ これは、汚染物質が内因性ではなく使用している患者からのものであることを示している。

■ これは、定量化によっても示された。製品のどれもが大量のCFU / gクリームによって汚染されていないことが示された。

■ 使用された日焼け止め製品に関する研究はまた、容器の開口部が最も頻繁に汚染された部分であることを示した。

■ 多くの製品では、5日間のインキュベーション後に可視化できらすべての微生物を単離し同定することができた。

■ しかし、場合によってはプレートが完全に覆われており、目に見える違いに基づき微生物集団を代表するコロニーを選択した。

■ これらの一面を覆ったプレートは、容器の開口部または縁からのものだった。

■ 欧州連合(EU)の法律によれば、化粧品は1,000 CFU / gクリーム以上を含有してはならず、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、カンジダアルビカンスを製品0.5g中に検出できないこととしている。

■ 1,000 CFU / gクリーム以上を含む製品は見つからなかった。

黄色ブドウ球菌を認めたが、おそらく使用中の汚染が原因であると考えられた。

■ カンジダ・アルビカンス、または緑膿菌である可能性のある酵母やグラム陰性桿菌も見出されたが、これらの病原体がクリーム中で増殖するのか、製品容器の開口部や端において一過性かどうかはわからない。

病原性微生物は、患者の手湿疹に潜在的に定着または感染させる可能性があり、それにより皮膚の治癒を延長するかもしれない

■ この研究の結果は、大部分のクリームが汚染されていることを示している。

■ 患者は、クリームを使用する際に注意を払い、容器の開口部/縁部と皮膚との接触を制限することが重要である。

■ 先行研究では、使用者がクリームと直接接触が少ない製品は、使用中に汚染される危険性がより低いことが示されている。

■ 特に、ジャー(軟膏壺)からは、瓶に指を挿入して直接の接触を避けるために、スパチュラまたはスプーンを使用することが好ましいであろう。

■ さらに、残ったクリームを瓶に戻したり、容器の端に拭き取ったりすることは推奨しない。

■ 感染した手湿疹や他の皮膚感染症がある場合、治癒を妨げたり、その製品を使う他のユーザーに感染させたりする可能性がある微生物の移動を避けるために、感染部位とクリーム、他の化粧品との直接の接触を最小限に抑えることが重要である。

 

 

結局、何がわかった?

20人の手湿疹患者から、計32の様々な製品(ジャー[軟膏壺]6つとチューブ26本)を調査すると、

 ✅ 製品の63%から微生物が単離され、汚染された製品の30%に黄色ブドウ球菌を認め、おそらく使用中の汚染が原因であると考えられた。

 ✅検出された微生物の多くは、製品のチューブの開口部またはジャー(軟膏壺)の縁から分離された。

 ✅ジャー(軟膏壺)からは、スパチュラまたはスプーンを使用することが好ましい。

 

 

ジャー(軟膏壺)から外用薬を使う場合は、スパチュラまたはスプーンを使用することが好ましい。

■ 黄色ブドウ球菌は、重症のアトピー性皮膚炎から検出された菌ほどアトピー性皮膚炎を悪化させることがわかっています。

■ すなわち、菌を皮膚に塗ると悪化する可能性があることを示しており、外用薬を汚染させない方がよいと考えられます。

■ 特にジャー(軟膏壺・容器)に入っている外用薬には十分配慮した方がよいでしょう。

 

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今日のまとめ!

 ✅外用薬はしばしば汚染される。ジャー(軟膏壺)からは、スパチュラまたはスプーンを使用することが好ましい。

 

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