保湿剤に、セラミドを含有していたほうが有効なのか?
■ 私は、アトピー性皮膚炎診療において保湿剤を重視していて、毎日のケアをおすすめしています。
■ そして、保湿剤の定期塗布がアトピー性皮膚炎の再燃を減らすという検討結果はすでにいくつかランダム化比較試験が発表されています。
■ しかし、「何を塗るのか」に関しては十分な検討はなかなかありません。一部、基剤だけよりも保湿成分が含まれていたほうがよいというランダム化比較試験はあります。
■ 今回は、保湿成分としてセラミドを含んだ製剤と、ステロイド外用薬を比較した研究をご紹介いたします。
Sugarman JL, Parish LC. Efficacy of a lipid-based barrier repair formulation in moderate-to-severe pediatric atopic dermatitis. J Drugs Dermatol 2009; 8:1106-11.
中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に罹患している小児121人を、ステロイド外用薬(フルチカゾンクリーム; 本邦未発売)とセラミド含有の保湿剤(EpiCream)にランダム化し、アトピー性皮膚炎の改善程度を比較した。
目的
■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)における脂質 - 生化学的異常を矯正するように設計された、セラミドの多く含む三重脂質バリア修復製剤(EpiCeram)の有効性を、フルチカゾンプロピオン酸塩クリームと比較し評価した。
方法
■ 5つの医療機関における、評価者盲検ランダム化比較試験により、中等症〜重症ADに罹患している121人におけるEpiCeramとフルチカゾン(Cutivate)クリームとを比較した。
■ プライマリアウトカムは、1)SCORAD(アトピー性皮膚炎の重症度スコア)として評価された疾患重症度の低下; 2)掻痒の改善; 3)睡眠習慣の改善だった。
結果
■ 治療開始後14日目および28日目の両方において、EpiCeramは臨床上の疾患重症度や掻痒を低下させ、睡眠習慣を改善した。
■ フルチカゾンによる治療群では14日目に有意に改善がみられたが、EpiCeramは、28日にはSCORAD、掻痒、睡眠習慣スコアがフルチカゾン投与群と有意差がなかった。
結論
■ セラミドを主成分とする生理学的脂質を基礎とした製剤は、ADに罹患している多くの小児のための効果的な独立した、または補助療法となり得る。
結局、何がわかった?
✅ セラミドを含有したEpiCreamは、アトピー性皮膚炎の重症度を治療開始14日、28日目に有意に改善させた。
✅ それは、ステロイド外用薬(フルチカゾン)と比較しても、14日目では劣っていたものの28日目では有意差がなかった。
さて、そこまで保湿のみで有意差がないものか、、、
■ 保湿剤のみでここまで効果があるのかなあと少々眉唾にも思えますが、保湿剤の有効性に関しての確認とはいえるでしょう。
■ セラミド成分はいいのかなあと思い、ここ数年は特にセラミドを含有している製品を勧めることが増えました。もちろん、保湿剤の選択に関しては小児における臨床研究が行われていることも重要視しています。
■ ただ、「EpiCream」はすさまじく高価なので、なかなか日常に使ってくのは難しいと思います。
下記の保湿剤はセラミドを含有していて比較的安価・小児に対する臨床試験があるといった条件をみたしていますが、「豊富にセラミドを含むのか」はわかりません。
今日のまとめ!
✅ セラミド含有の保湿剤は有用かもしれない。