以下、論文紹介と解説です。
Yamamoto-Hanada K, et al. Allergic profiles of mothers and fathers in the Japan Environment and Children’s Study (JECS): a nationwide birth cohort study. World Allergy Organization Journal 2017; 10:24.
Japan Environment and Children's Study (JECS)に参加した、母親99,013人、父親49,991人のアレルギー疾患の罹患率と感作率を調査した。
背景
■ Japan Environment and Children's Study (JECS) は、日本の環境省によって開始された全国的な多施設前向き出生コホート研究である。
■ JECSの目的は、小児の出生後の健康に対する環境因子への出生前及び出生後の曝露の影響を評価することである。
■ 本研究では、JECSコホートにおける両親のアレルギー特徴を評価した。
方法
■ 本研究は広い地理的領域をカバーし、地域センター15施設を網羅した。
■ 妊娠初期の母親および/または父親により記入されたアンケートを用いて、アレルギー疾患と診断された医師に関する情報を得た。
■ 血清IgE値を検出するために,母親および/または父親から血液サンプルも得た。
結果
■ 喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの罹患率は、99,013人の母親においてそれぞれ10.9%、36.0%、15.7%、4.8%であり、49,991人の父親におけてそれぞれ10.8%、30.3%、11.2%、3.3%だった。
■ 抗原特異的IgE陽性率は母親の73.9%に認められた。
■ 母親の抗原感作はスギ(55.6%)が最も高く、次いでDer p1(48%)だった。
■ そして卵白に感作された母親はわずか1.0%だった。
結論
■ これは日本人の一般集団における妊娠中の両親のアレルギー疾患とアレルゲン感作に関する最初の疫学的報告である。
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おおむね、妊娠中の母(外来に受診されている保護者さんくらいでしょうか)は、スギ・ダニに半数は感作されている。
■ 妊娠中のお母さん、(すこしずれるかもですが)外来に受診されているお子さんの保護者さんの感作率に関し、以前は9割とお話ししていましたが、それは選択バイアスも強かったようです。
■ おおむね半数と考えれば良いようですね。
今日のまとめ!
✅ 妊娠中の母親のスギやダニの感作率は、おおむね半数と言えばよさそうだ。