以下、論文紹介と解説です。

Vogt TM, et al. Risk of severe acute respiratory syndrome-associated coronavirus transmission aboard commercial aircraft. J Travel Med 2006; 13:268-72.

SARSに感染した患者が搭乗した航空機にいあわせた1,766人の乗客および乗務員のうち339人(19%)に連絡をとり、症状・抗体を確認した。

背景

■ 重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(Severe acute respiratory syndrome-associated coronavirus; SARS-CoV)は、航空旅行を通じて米国に持ち込まれた。

■ 航空機客室内での SARS-CoV 感染のリスクはいくつかの研究で取り上げられているが、そのリスクの大きさは不明である。

 

方法

SARS 患者が搭乗した米国行きの航空機 7 便に搭乗し、米国の電話番号を持つすべての搭乗者に連絡を取った。

■ 同意した参加者はアンケートに回答し、フライトから少なくとも38日後に血清サンプルを採取しSARS-CoV抗体の検査を行った。

■ 2~10日間の潜伏期間中に発症し、SARSに矛盾しない疾患を報告した参加者は疑わしい例とみなし、確定症例には血清検査が陽性であることが必要とした。

 

結果

1,766人の乗客および乗務員のうち、339人(19%)が連絡を受けた。

■ このうち312人(92%)がアンケートに回答し、127人(37%)から採血を行った。

■ 4人中3人がSARSの臨床的な基準を満たし、4人目は症状が5日のみの軽症例だった。

論文から引用。SARSとしての症状を満たした4人も、抗体は全員陰性だった。

 

結論

■ SARS -CoV の感染は観察されず、航空機内では感染リスクは増幅されないことが示唆された。

 

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空調システムがガイドラインに沿ったきちんとしたもので故障がなければ、コロナウイルスの感染リスクは低いのではと予想される。

■ SARSに関しては、すくなくともWHOからのSARSの対策マニュアルが発表されてからは、新規の感染者はなかったとされています(Mangili A, Gendreau MA. Transmission of infectious diseases during commercial air travel. The Lancet 2005; 365:989-96.)。

■ これらからは、『ガイドラインに沿った空調システムがあり』『空調システムの故障がなければ』感染リスクはかなりひくくなるとまとめられそうです。

■ しかし、『空調システムの故障があったかもしれない』とする、前述のSARSの報告では、感染のリスクが高くなっています。

New England Journal of Medicine 2003; 349:2416-22.より引用。感染がかなり広がっている。

■ ですので私は、長時間登場する航空機では、空調の完備・点検が重要になってくるのではないかと考えています

■ 個人的にはGo To トラベルキャンペーンに慎重な考えを持っていますが、飛行機に乗らなければならない場合もあるでしょう。その際の参考になるかもしれません。

 

今日のまとめ!

 ✅ ガイドラインにそった空調の完備がある航空機では、SARS-Cov2への感染リスクは高くはないのではないかと予想される。

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