日本における新型コロナ流行前・流行中のRSウイルスの流行の変化は?

コロナ流行中に感染予防により流行が収まっていたRSウイルス感染症が2021年に大きく流行した。

 RSウイルスは多くの場合、2歳までにほぼすべてのひとがかかる感染症です。

■ 2020年はほとんど流行しませんでしたが、2021年におおきな流行が見られました。

■ 同様の現象は世界各地で見られ、感染の年齢層も変化しました。

■ そして最近、日本でおこなわれた検討も公開されていましたので共有します。

 

Ozeki S, Kawada J-i, Yamashita D, Yasufuku C, Akano T, Kato M, et al. Impact of the Coronavirus Disease 2019 Pandemic on the Clinical Features of Pediatric Respiratory Syncytial Virus Infection in Japan. Open Forum Infectious Diseases 2022; 9.

愛知県と岐阜県にある18の総合病院の小児科に、RSウイルスによる急性気道感染症で入院が必要となった6歳未満の小児を後ろ向きに登録し、新型コロナパンデミック前(2019年1月~2020年4月、1675人)とパンデミック中(2020年9月~2021年12月、1297人)の臨床的な特徴を比較した。

背景

■ 新型コロナ感染症(COVID-19)のパンデミック時に実施された感染予防策により、小児の感染症発症は著しく減少した。
■ しかし、日本では2021年に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症の再流行が観察された。
■ COVID-19以前とCOVID-19期間中のRSV感染症の入院患者の臨床特性を比較した。

方法

■ 18病院でRSV感染症で入院した6歳未満の小児をレトロスペクティブに登録し、COVID-19パンデミック前(2019年1月~2020年4月、1675人)とパンデミック中(2020年9月~2021年12月、1297人)の臨床的な特徴を比較した。

結果

■ RSV感染症患者の平均月齢は、COVID-19パンデミック中は以前より有意に高かった(17.4カ月 vs 13.7カ月、P < .001)。

■ COVID-19流行前と比較して、COVID-19流行中のサーベイランスから2~5歳の年齢層におけるRSV症例の2.6倍の増加が観察されたが、入院患者の同じ年齢層では1.2倍の増加にとどまった。

■ また、COVID-19期間中にRSVに感染した患者では、全患者の平均で、X線撮影によるconsolidation陰影の頻度が低く(26.1 vs 29.6%, P = .04)、呼吸補助(42.2 vs 48.7%, P < .001) の期間や入院期間(5.7 vs 6.0 day, P < .001 )が短かった。

結論

■ COVID-19と社会活動制限が小児RSV感染症の疫学的変化を引き起こした。
■ しかし、2歳以上のRSV感染症患者の大多数が入院を必要とする重症の症状を発症しなかった。
■ COVID-19のアウトブレイク中のRSVによる症状は、前シーズンと同等か、より軽症だった。

 

 

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