以下、論文紹介と解説です。

Gordon M, et al. Cochrane Review: Osmotic and stimulant laxatives for the management of childhood constipation (Review). Evid Based Child Health 2013; 8:57-109.

0~18歳の便秘患児を対象に、浸透圧性下剤もしくは刺激性下剤とプラセボまたはその他の介入とを比較したランダム化比較試験18件(1643人)に対するシステマティックレビューを実施した。

背景

■ 小児期の便秘は、非常に一般的な問題である。

■ 小児の便秘を管理するために、医療者が浸透圧性下剤や刺激性下剤を広く使用しているにもかかわらず、この診療をサポートする質の高いエビデンスは長年にわたって不足している。

 

目的

■ 小児の機能性便秘の治療に用いられる浸透圧性下剤と刺激性下剤の有効性と安全性を評価することを目的とした。

 

検索方法

■ 検索は標準化しており、言語による制限なく、電子データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Inflammatory Bowel Disease and Functional Bowel Disorders Group Specialized Trials Register)を検索し、含まれてたすべての研究の検索、個人的な連絡、製薬会社の検索が含まれた。

 

選定基準

■ 0~18歳の患者を対象に、浸透圧性下剤もしくは刺激性下剤をプラセボまたはその他の介入とを比較したランダム化比較試験(Randomised controlled trial; RCT)が対象とされた。

■ プライマリアウトカムは排便頻度だった。

■ セカンダリエンドポイントには、便失禁、排便障害、追加治療の必要性、有害事象が含まれていた。

 

データの収集と解析

■ 関連論文を抽出し,著者がそれぞれに対し試験の適格性を評価した。

■ 解析には Cochrane RevMan を用いた。

■ 解析には Cochrane RevMan ソフトウェアを使用した。

■ 連続変数のアウトカムについては、固定効果モデルを用いて平均差(mean difference; MD)95%信頼区間(confidence interval; CI)を算出した。

■ 二項変数のアウトカムについては、固定効果モデルを用いてオッズ比(odds ratio; OR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。

■ 統計的不均一性を評価するためにカイ二乗とI(2)統計を使用した。

■ 説明されない異質性の状況では、ランダム効果モデルが使用された。

 

主な結果

■ 18件のRCT(1643人)がレビューに含まれた。

■ 9研究は、盲検化、アウトカムデータの不完全さ、選択的な報告の不足により、バイアスのリスクが高いと判断された。

ポリエチレングリコール(polyethylene glycol; PEG)とプラセボを比較した2研究(101人)のメタアナリシスでは、PEGの方が週あたりの便回数が有意に増加した(MD 2.61/週; 95%CI 1.15~4.08)

■ プラセボ対照試験でみられた一般的な有害事象は、腹満、腹痛、嘔気、下痢、頭痛などだった。

338人を対象にPEGとラクツロースを比較した4研究のメタアナリシスでは、フォローアップ期間は短かったものの、PEGの方が週あたりの便回数が有意に多かった(MD 0.95 便回数/週, 95%CI 0.46~1.44)

■ PEGを処方された患児は、追加の下剤治療を必要とする可能性が有意に低かった。

PEGを処方された患者の18%が追加治療を必要としたのに対し、ラクツロースを受けた患児の30%が追加治療を必要とした(OR 0.49; 95%CI 0.27~0.89)

■ いずれの薬剤でも重篤な有害事象は報告されなかった。

■ これらの研究でよく報告された有害事象には、下痢、腹痛、嘔気、嘔吐、肛門の掻痒などがあった。

■ 211人を対象とした3研究のメタアナリシスでは、PEGとマグネシア乳を比較して、PEGの方が1週間あたりの便回数が有意に多いことが示された(MD 0.69 便回数/週; 95%CI 0.48~0.89)

管理人注
マグネシア乳は、酸化マグネシウムと考えて良いでしょう。

■ しかし、この差の大きさは非常に小さく、臨床的には有意ではないかもしれない。

■ 1人において、PEGに対するアレルギーを指摘されたが、その他の重篤な有害事象は報告されていない。

287人を対象とした2研究のメタアナリシスでは、流動パラフィン(ミネラルオイル)とラクツロースを比較したところ、週あたりの便回数で流動パラフィンの方が統計学的に有意な差が認められた(MD 4.94便回数/週; 95%CI 4.28~5.61)

■ 重篤な有害事象は報告されなかった。

■ 有害事象には腹痛、腹満、水様便が含まれた。

■ 週あたりの便回数について、PEGと浣腸(1試験; 90人; MD 1.00; 95%CI -1.58~3.58)、食物繊維とラクツロース(1試験; 125人; P = 0.481)、センナとラクツロース(1試験; 21人; P>0.05)、ラクチトールとラクツロース(1試験; 51人; MD -0.80l 95%CI -2.63~1.03)、PEGと流動パラフィン(1試験; 158人; MD 0.70; 95%CI -0.38~1.78)に統計学的に有意な差は認められなかった。

 

結論

■ プール解析により、小児期の便秘に対しては、PEG製剤がプラセボ、ラクツロース、マグネシア乳よりも優れている可能性が示唆された。

■ GRADE解析では、プライマリアウトカム(1週間あたりの便回数)に関するエビデンスの全体的な質は、データが乏しく不整合性(不均一性)があり、プール解析を行った研究ではバイアスリスクが高いために、低いか非常に低いことが示された。

■ このように、プール解析の結果は、質と方法論的な懸念、臨床的な不均一性、フォローアップ期間の短さから、慎重に解釈されるべきである。

■ しかしながら、PEGは安全で忍容性が高いようである。

■ また、流動パラフィン(ミネラルオイル)の有効性を示唆するエビデンスもあり、こちらも忍容性は良好であった。

■ プラセボ対照試験が不足しているものの、他の薬剤と比較してラクツロースの優位性を示すエビデンスはない。

■ さらなる研究は、流動パラフィンの役割と同様に、小児期の便秘に対するPEGの長期使用を調査するために必要である。

 

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ポリエチレングリコール(モビコール)の有用性が際立つ結果ではありますが、便秘の治療は単剤で完結するとは限りませんし、生活指導や食事指導も必要です。

■ モビコールの有用性が際立つ結果ではありますが、もちろん、生活指導や食事療法もふくめて他剤もうまくつかいながら便秘の管理はしていく必要があるでしょう。

■ そして、時間をかけて治していくことが重要です。

■ オランダにおける研究では、受診までの期間がながくなるほど、受診時の年齢が高くなるほど治癒しにくくなり、25%は成人に持ち越してしまっていたそうです(Pediatrics 2010; 126:e156-62.)。

 

今日のまとめ!

 ✅ 小児の便秘治療としてモビコールは有用。しかし他剤の特徴も把握して組み合わせることになるだろう。

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