TRPV1は1997年に発見されノーベル賞を受賞した受容体で、アトピー性皮膚炎の悪化に関係することがわかっています。
■ TRPV1とは、1997年に遺伝子クローニングされたカプサイシン受容体です。
■ TRPV1は、2021年にDavid Julius教授とArdem Patapoutian教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したという画期的な発見により、43度以上の熱刺激で活性化する受容体であることが示されてました。
■ TRPV1はヒスタミンによる神経興奮に関係し、炎症の発症に関与します。そしてアトピー性皮膚炎の病変部位では、TRPV1が過剰発現し痒みと炎症の両方を増強しています。
■ そして、TRPV1阻害剤は皮膚バリアを回復させることでアトピー性皮膚炎を改善させることが報告されいています。
■ 最近、韓国から、TRPV1阻害剤であるasivatrepを塗布することで、アトピー性皮膚炎の症状を改善させることがランダム化比較試験で報告されましたので共有します。
論文から引用。グラフィカルアブストラクト。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
12歳以上の軽症から中等症のアトピー性皮膚炎患者240人を、TRPV1阻害薬 asivatrep外用薬群とプラセボ群にランダム化し8週間塗布した効果と有害事象を比較したところ、
✅ 8週目において、asivatrep群(36.0%)は基剤群(12.8%)よりもIGAスコアが0または1になった患者が有意に多く(P < .001)、IGAスコアが試験開始時から2ポイント以上改善した患者が有意に多かった(20.3% vs 7.7%; P = .01)。
✅ 8週目のEASIスコアの平均減少率は、asivatrep群44.3%、基剤群21.4%(P < .001)だった。