以下、論文紹介と解説です。

Ulziibat M., Munkhuu B., Bataa A. E., Schmid R., Baumann T., Essig S.: Traditional Mongolian swaddling and developmental dysplasia of the hip: a randomized controlled trial. BMC Pediatr, 2021; 21: 450.

発育性股関節形成不全のリスクが高いと考えられる新生児80人を、おくるみ群と非おくるみ群にランダム化し、発育性股関節形成不全の発症リスクを検討した。

背景

■ モンゴルの伝統的な乳幼児のおくるみは、手足を伸ばし、股関節を内転させるため、股関節の成熟と形成に異常をきたし、股関節の発育性股関節形成不全(DDH)の一因となる可能性がある。

■ そこで、この仮説がランダム化比較試験で検証された。

 

方法

■ ウランバートルの三次病院において、出生時にDDHへのリスクのある股関節が1つまたは2つある新生児(Graf Type 2a、生理的に未熟な股関節)80名を2群にランダム化した。

論文から引用。Graf分類。

Fig. 2

 

■ おくるみ群(n=40)にはモンゴルの一般的な伝統的方法で1ヶ月間、おくるみを行い、非おくるみ群(n=40)にはおくるみを全く行わないように指導した。

論文より引用。おくるみされていない赤ちゃんと、モンゴルの伝統的なおくるみの赤ちゃん。

Fig. 1

■ 登録者全員を毎月股関節超音波検査でフォローアップし、必要に応じて外転-屈曲添え木を用いて治療した。

■ 両群は、主要アウトカムとして、フォローアップコントロールにおけるGrafの「非Type1」股関節の率について比較された。

■ セカンダリアウトカムはDDHの率と退院までの期間(Graf Type 1; 健常股関節)だった。

■ さらに、主要アウトカムとおくるみの期間(日数)・おくるみの頻度(1日あたり時間)との相関を算出した。

 

結果

■ 2019年9月から2020年3月までリクルート氏、2020年6月にフォローアップデータを完成させた。

■ 登録者 80 名全員で最終アウトカムデータを収集した。

■ いずれかのフォローアップ検査で股関節が1型でない症例の率は、非おくるみ群で7.5%(3/40)、おくるみ群で40%(16/40)だった(p=0.001)。

■ 非おくるみ群ではDDH症例はなかったが、おくるみ群では8例だった。

論文から引用。Cox比例ハザード回帰モデルで推定したおくるみ群のDDH累積ハザード。

Fig. 5

■ 退院までの平均期間は、非おくるみ群で5.1±0.3週間、おくるみ群で8.4±0.89週間(p = 0.001)だった。

■ 主要アウトカムとおくるみの頻度(1日あたりの時間数)(r = 0.81)・おくるみの期間(日数)(r = 0.43)には相関があった。

 

 

結論

■ モンゴルの伝統的なおくるみは、脚を伸ばし、腰を伸展・内転させた状態で行うため、DDHのリスクが高くなる。

 

発育性股関節形成不全はおくるみのみで発症する訳では無いが、配慮する必要性があると思われる。

■ 発育性股関節形成不全はおくるみのみで発症するわけではなくさまざまな原因をもととする多因子疾患です。

■ また、この研究は『発症リスクの高い赤ちゃん』が選ばれているため、よりリスクが高く見ていることも承知置く必要もあるでしょう。

■ ですので、おくるみをしたから発症したではありませんし、おくるみをしていなくても発症する可能性があります。

■ しかし、少なくとも、おくるみは積極的に使用することは勧められないといえるでしょう。

■ だたし、『スワドリング』『スワドル』という名前がついている製品もさまざまあります。

■ そこで、すこし付け加えてツイートしました。

■ すなわち、『股関節を広げて脚を曲げられるような製品を選択するほうが良い』と考えています。

 

■ そのうえで、『コアラ抱っこ』『M字だっこ』を意識していただくようにお話するのがいいのかなと考えてます。

 

 

 

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