おくるみと発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)には関連があると考えられている。
■ おくるみは、世界中で、赤ちゃんを落ち着かせて眠りにつかせる助けとして使用されたり、冬に寒さをしのぐのによいと信じられている文化圏もあります(Pediatrics 2007; 120:e1097-106.)。
■ 一方で、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の原因となると考えられるようになり、現在ではその使用を制限する方向です。
■ このあたりは歴史的な変遷を承知しておくといいかもしれません。
■ 簡単にTwitterとYahoo!個人で解説もしましたので、もしよろしければ…
いわゆる赤ちゃんの『おくるみ(スワドリング)』に関する話題をSNSで見かけます。
— ほむほむ@アレルギー専門医:『小児のギモンとエビデンス』重版決定 (@ped_allergy) November 6, 2022
ここには少し歴史が関連していると思われますので簡単におはなししてみます。
あくまでイチ小児科医の考えとしてお聞きくださいませ。
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【Yahoo!個人】
『おくるみ』はリスク?それとも赤ちゃんが寝るのを助ける?歴史的な経緯を小児科医が解説
■ しかし、モンゴルでは特に農村部の遊牧民の方々では、生後数ヶ月の一般的な育児方法としておくるみが残っているそうです。
■ そこで、その方々を対象に、おくるみによる発育性股関節形成不全の発症リスクいにおくるみが影響するかが検討されました。
■ ランダム化比較試験としては初のもののようです。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
発育性股関節形成不全のリスクが高いと考えられる新生児80人を、おくるみ群と非おくるみ群にランダム化し、発育性股関節形成不全の発症リスクを検討したところ、
✅ 股関節が1型でない例(股関節の形成が不十分と考えられる)の率は、非おくるみ群で7.5%(3/40)、おくるみ群で40%(16/40)だった(p=0.001)。
✅非おくるみ群では発育性股関節形成不全例はなかったが、おくるみ群では8例だった。
✅おくるみの頻度(1日あたりの時間数)(r = 0.81)・おくるみの期間(日数)(r = 0.43)には相関があった。