離乳症早期導入による食物アレルギーの発症予防に関し、最近の研究結果にやや齟齬・混乱がみられる。
■ 離乳食早期導入による食物アレルギーの発症予防は、LEAP試験により、特にピーナッツアレルギーの多い国でガイドラインの更新を即しました。
■ しかし、すでにピーナッツの早期導入が実現したオーストラリアから、ピーナッツアレルギーの発症を減らしていないという報告もでてきています。
■ このあたりの齟齬は、どのような理由で起こってきているのでしょうか?
■ 最近公開された、カナダ免疫アレルギー学会の声明が有用と思われましたので、共有します。
Abrams EM, Ben-Shoshan M, Protudjer JLP, Lavine E, Chan ES. Early introduction is not enough: CSACI statement on the importance of ongoing regular ingestion as a means of food allergy prevention. Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2023; 19:63.
カナダ免疫アレルギー学会の声明のまとめを見ると、以下のようにまとめられていた。
01)月に複数回の定期的摂取が有用であろう
一般的なアレルゲンの早期導入と年齢に応じた量および食感の定期的な摂取を、月に複数回(少なくとも毎週1回を目標に)行うことは、耐性の確立および維持に非常に有効である可能性が高い。
02)時折または単発の暴露は有害である可能性がある。
いったん食物アレルギーが発症すると、単発的な摂取や時折の摂取は有害であり、感作や食物アレルギーの発症リスクを高める可能性があることが、現在のエビデンスから示唆されている。
03)定期的な摂取が不可能な場合は、回避することが望ましい。
アレルゲンが家族にとって一般的な食習慣ではなく、定期的な摂取が不可能な場合は、断続的な摂取よりも回避が望ましいと考えられるが、さらなる研究が必要である。
04)理想的な摂取量と摂取頻度がわからない
理想的な定期摂取の量と頻度はまだ不明であるが、上記の推奨はエビデンスと実用性のバランスに基づいている。ピーナッツに対する耐性を維持するには、数年間の摂取で十分であるように思われる。
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