ジファミラスト軟膏による皮膚バリア機能改善への効果メカニズムは?

ジファミラスト(商品名モイゼルト)軟膏は、新規にアトピー性皮膚炎に保険適用となったPDE4阻害薬。

■ PDE4阻害薬の外用薬、ジファミラスト(商品名モイゼルト)は、2022年6月に2歳以上の小児に使用できるようになりました。

■ 7月16日から17日に、福岡で日本小児臨床アレルギー学会が開催され、その際、九州大学の辻先生と講演をさせていただきました。

■ その辻先生が、ジファミラストのメカニズムを報告されており、その内容を解説されていました。
■ PDE4阻害薬の論文はかなり少なく、そのなかで重要な検討と感じましたので、簡単に翻訳して共有します。

 

Tsuji G, Hashimoto-Hachiya A, Yumine A, Takemura M, Kido-Nakahara M, Ito T, et al. PDE4 inhibition by difamilast regulates filaggrin and loricrin expression via keratinocyte proline-rich protein in human keratinocytes. Journal of Dermatological Science 2023.

ジファミラストがヒトケラチノサイトにおいて、フィラグリンやロリクリンの発現を制御するメカニズムを検討した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)治療に有効性が示唆されている外用ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬、ジファミラストの分子メカニズムは、未だ解明されていない。
■ 皮膚バリア機能の不全、特にフィラグリン(FLG)やロリクリン(LOR)の発現低下がADの一部の原因であることが知られており、ジファミラスト治療がこれらの機能不全を改善できる可能性がある。
■ PDE4の阻害はcAMP応答性エレメント結合蛋白( cAMP-responsive element binding protein; CREB)の転写活性を高める。
■ よって、ジファミラストがヒトケラチノサイトでCREBを介してFLGおよびLORの発現に影響を及ぼす可能性があると仮定した。

目的

■ ジファミラストがヒトケラチノサイトにおいて、CREBを介してFLGおよびLORの発現を制御するメカニズムを解明する。

方法

■ ジファミラストで処理された正常ヒト表皮ケラチノサイト(normal human epidermal keratinocytes; NHEK)を解析した。

結果

■ ジファミラスト(5μM)で処理されたNHEKでは、細胞内cAMPレベルとCREBのリン酸化が増加した。
■ ジファミラスト処理により、NHEKのFLGとLORのmRNAレベルおよびタンパク質レベルが上昇したことが確認された。
■ ケラチノサイトプロリンリッチタンパク質(keratinocyte proline-rich protein; KPRP)の発現低下がADの皮膚バリア機能障害に関連しているとの報告があるため、ジファミラスト処理したNHEKにおけるKPRPの発現を調査した。
■ ジファミラスト処理により、NHEKのKPRPのmRNAおよびタンパク質レベルも上昇したことがわかった。
■ また、siRNAトランスフェクションを用いてKPRPをノックダウンすると、ジファミラスト処理したNHEKにおけるFLGとLORのアップレギュレーションが消失した。
■ さらに、CREBをノックダウンすると、ジファミラスト処理したNHEKでのFLG、LORおよびKPRPのアップレギュレーションも消失した。
■ これらの結果から、ジファミラストによるPDE4阻害が、NHEKにおいてCREB-KPRP軸を介してFLGおよびLORの発現を正に制御することが示唆された。

結論

■ これらの結果は、ジファミラストを用いたAD治療戦略に新たな指針を提供する可能性があることを示している。

 

 

論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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