大学生のアトピー性皮膚炎が長引く原因は?

思春期まで持ち越したアトピー性皮膚炎は寛解しがたくなってくる。

■ 12歳以降まで持ち越したアトピー性皮膚炎は寛解しがたくなってくることが明らかとなっています。

■ では、成人になるまで持ち越したアトピー性皮膚炎が長引く理由にはどんなものがあるでしょうか?
■ 後ろ向きの研究ではあるものの、最近、大阪大学皮膚科からの報告がありましたので共有します。

 

Nakano-Tahara M, Matsumoto M, Yamauchi-Takihara K, Iso H, Katayama I, Murota H. Retrospective survey for clinical course and aggravating factors of adolescent atopic dermatitis in two years' cohort study on first‐year university students. Journal of Cutaneous Immunology and Allergy 2022; 5:47 - 55.

日本の大学一年生、6105人(うち約16%がアトピー性皮膚炎の診断歴あり)の皮膚症状の持続や頻度に対する増悪因子をアンケート調査で確認した。

背景

■ 近年の疫学的調査により、思春期のアトピー性皮膚炎患者数が増加していることが確認された。
■ しかしながら、日本における青年期アトピー性皮膚炎の臨床的全容は未だ十分に解明されていない。
■ 本研究では、思春期のアトピー性皮膚炎が慢性化する要因についての知見を深め、患者の予後改善させることを目的とした。

方法

■ 2013年及び2014年に、我々の大学の1年生を対象に、人口統計学的特性と過去のアレルギー歴について後方視的に自己報告させた。
■ これら6105名からの回答を分析し、アトピー性皮膚炎の患者を臨床経過に基づいて4つのグループに分け、その経過に影響を及ぼす可能性のある因子を探求した。

結果

■ 全体の約16%の学生が過去にアトピー性皮膚炎と診断され、その大半は小児期から症状を経験していた(慢性化)。

■ 他の回答者は、寛解(32%)、思春期発症(14%)、再発(6%)を報告した。
■ ロジスティック回帰分析により、心理的ストレスと空気の乾燥が、慢性化、再発、思春期発症のリスクを高める明確な増悪因子として特定された。
■ また、睡眠不足、ハウスダスト、花粉、高温、汗が、慢性化の経過にのみ関連する悪化因子であることが明らかになった。

結論

■ 本研究は、日本の思春期のアトピー性皮膚炎患者の多数が症状の遷延を経験していることを明らかにし、その不適切な経過を引き起こす可能性のある因子を特定した。
■ これらの因子を制御することにより、この集団の慢性的な症状が緩和される可能性があることを示唆している。

 

 

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