ピーナッツアレルギーを予防するための『早期開始』は、生後8ヶ月までが目安?:PeanutNL研究

離乳食早期開始は、いつからが『早期』か?

離乳食の早期開始による食物アレルギーの発症予防は、多くの場面で取り上げられるようになりました。

■ しかし、早期開始とはいつからが早期なのかが焦点になることがあります。

■ 最近、Pediatric Allergy and Immunology誌において、このテーマに関する検討が報告されています。

 

Verhoeven DH, Herpertz IC, Hol J, Klok T, Fleuren SP, Hendriks T, et al. Reactions to peanut at first introduction in infancy are associated with age≥ 8 months and severity of eczema. Pediatric Allergy and Immunology 2023; 34:ei13983.

オランダの6つの小児アレルギーセンターに ピーナッツアレルギー予防のための早期導入を目的として紹介された乳児707人に対し、ピーナッツの皮膚プリックテストと経口負荷試験を実施した。

背景

■ 先行研究により、ピーナッツアレルギーの予防にピーナッツの早期導入が有効であることが示唆されている。
■ しかし、ピーナッツに感作されている乳児を除外すると、最適な導入時期は依然として不明確である。

方法

■ PeanutNL研究は、オランダの6つの小児アレルギーセンターで行われた。
■ ピーナッツアレルギー予防のための早期導入を目的として紹介された乳児は、生後6ヵ月(中央値)でピーナッツの皮膚プリックテストと経口負荷試験を受けた。

結果

■ ピーナッツを食べたことがない乳児707人のうち、162人(23%)がピーナッツに感作され、その中の80人(49%)には4mmを超える膨疹が確認された。
■ 707人中67人(9.5%)が、ピーナッツ初回摂取時に経口負荷試験で陽性反応を示した。
■ 多変量解析により、年齢(p < 0.001)とSCORAD重症度スコア(p = 0.001)が有意な危険因子として特定された。
■ 中等症または重症の湿疹のある乳児において、生後8ヵ月以上でピーナッツを導入した場合には、8ヵ月以前に導入した場合と比べて、ピーナッツに対するアレルギー反応のリスクが増加した(オッズ比はそれぞれ5.24(p = 0.013)および3.61(p = 0.019))。
■ ピーナッツアレルギーの家族歴や卵に対する過去の反応は、独立した危険因子として特定されなかった。

結論

■ これらの結果を基に、中等症または重症の湿疹を持つ乳児における初回の反応リスクを低減するためには、生後8ヵ月までにピーナッツを導入することが推奨される。
■ 特に、重症の湿疹を持つ小児はアレルギーの反応リスクが最も高いため、遅くとも生後7ヵ月までにピーナッツの臨床的導入を検討すべきである。

 

 

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