ピーナッツアレルギーに対する経皮免疫療法から経口免疫療法へのスイッチ療法は有効か?

ピーナッツアレルギーに対する経皮免疫療法(EPIT)の検討が進み、どのような活用をしていくかが模索されている。

食物アレルギーに対するアレルゲン免疫療法として、経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)などが考えられています。

 

■そのうち、経皮免疫療法(EPIT)は、皮膚に特殊なシールを貼り、食物アレルギーの治療を行うという方法です。

■効果はOITほどではないものの、安全性は高いと考えられています。

■ 最近、EPITとOITの併用療法を検討し、OITの前段階の治療や治療中の反応を軽減するためのEPITの活用可能性についての報告がありましたので共有いたします。

Wong L, Kost L, Anderson B, Long A, Sindher SB, Chinthrajah RS, et al. Transitioning from epicutaneous to oral peanut immunotherapy. Front Allergy 2023; 4:1089308.

ピーナッツ経皮免疫療法(EPIT)が成功した小児27人のうちEPITから経口免疫療法(OIT)に移行した18人と、EPITのみで継続した群を検討した。

はじめに

■ 経皮免疫療法(EPIT)は、ピーナッツアレルギー(PA)を持つ小児を対象とした臨床試験で、安全性と減感作効果の有効性が検証されている。
■ ピーナッツの除去と症状の管理以外に、経口免疫療法(OIT)もピーナッツアレルギー患者の治療選択肢として存在する。
■ しかし、OITは有害事象のリスクが伴い、小児およびその介護者に安全性の懸念をもたらすことがある。

方法

■ 本研究では、ピーナッツEPIT試験が成功した小児27人を評価した。
■ その中で18人がピーナッツOITに移行し、開始用量はピーナッツ蛋白10~600mgとした。
■ 本研究の目的は、アンケート調査を通じてEPITからOITへの移行経験を深く理解し、一方の治療だけでは得られない可能性のある安全かつ良好な結果を追求するため、2つの免疫療法を連続して使用することの意義を探ることだった。

結果

■ 全体的に、EPITを行った小児とその養育者は、OIT開始に対する不安が少なかった。

■ EPITからOITへ移行した多くの小児は、開始時の症状がないか軽微で、OIT治療後には症状が軽減した。

■ また、大部分の小児がピーナッツの摂取量を維持または増加させ、維持量は60~2,000mgとなった。

考察

■ 現在の小児のPAに対するOITに関する文献と比較して、EPITからOITへの移行群での症状は、より軽微で少なかったことが確認された。
■ しかし、耐え難い症状の発現によりOITを中止した参加者が3名存在した。
■ 本研究は、EPITとOITの併用療法の有効性を示す初期データを提供しており、両療法の併用効果を評価するための大規模なランダム化比較試験が求められる。

 

 

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