den Hartog G, et al., House dust mite-specific IgA2 is associated with protection against eczema in allergic patients. Allergy 2016; 71:563-6.
ダニに対するIgAが唾液中にあるという報告。
■ そこで、直接は関係ないですが、唾液中のダニ特異的IgA2がアトピー性皮膚炎に防御的に働く可能性があるという論文です。
P: アレルギー性鼻炎の病歴があり一般的な吸入抗原に対する皮膚検査をうけた14歳以上の患者19名(男性6名、女性13名) E: アトピー性皮膚炎、喘息の現病歴 C: 対照被験者(チリダニ類に対するアレルギー臨床症状またはに感作がない男性7名、女性7名) O: 唾液/血清中のチリダニ特異的IgE、IgG4、IgA1とIgA2 |
結果
■ 19名全員がアレルギー性鼻炎、10例がアトピー性皮膚炎、4名が喘息だった。
■ チリダニ特異的血清IgAは対照と有意差は認めなかった(P = 0.088)が、チリダニ特異的唾液IgA2はチリダニアレルギー患者で有意に低下していた(P = 0.037)。
■ 血清チリダニ特異的IgA2は、アトピー性皮膚炎をもつチリダニアレルギー患者において有意に低値だった。(P = 0.004)。
■ アトピー性皮膚炎がある患者のうち4例は喘息もあり、アトピー性皮膚炎+喘息を持つ患者は、アトピー性皮膚炎のみの患者に比較してチリダニ特異的IgA2がより低値だった(P = 0.063)。
■ また、チリダニ特異的IgA2はアトピー性皮膚炎も喘息もないチリダニアレルギー患者に比較して有意に低値だった(P < 0.001)。
■ 血清・唾液中チリダニ特異的IgA2(IgA1ではなく)が湿疹に罹患しているチリダニアレルギー患者において減少していた。
コメント
■ 舌下ピーナッツ免疫療法を受けた後のIgAは、より多いピーナッツ摂取と関係していたという論文がReferenceに引用されており、では、「経口的に入ってきたダニはアレルギー的には防御的に働いている」ということになるのかもしれません。
■ ダニ舌下免疫療法が存在することからも、ダニが経口的に侵入してくると防御的に働くのは理論上は正しいといえます(ただし、舌下免疫療法で使用されている抗原とは異なり、正に”粗”抗原ですね、、)。
■ もちろん、「目に見えるダニ」であるマダニ亜目などと、アレルギーとして問題になりやすいコナダニ亜目はダニとしては別の種類になります。
■ しかし、交差抗原(例えばエビで症状があるかたの多くはカニでも症状があるといった同じようなアレルゲンで症状が交差する)として問題になり、チリダニに強く感作された患者さんが小麦粉などに繁殖したダニを摂取してアナフィラキシーを起こしたような報告は多数あります。
■ 水道水中のダニの混入のニュースは大きく取り上げられたようで、もちろん衛生的な問題は見過ごせません。しかし、例えば貯水タンク中の虫の混入は日常茶飯事のようです。あまり想像したくないですけど、思ったより我々は虫を経口的に摂取してしまっていて、それはダニアレルギーに対して予防的に働いているのかもしれません。