NSAIDsは、小児喘息にリスクが高いか?
■ 喘息患者に対しNSAID(解熱鎮痛薬)の投与が、喘息増悪に影響するという報告があります。
■ さらに、アセトアミノフェンが、イブプロフェンより肺機能を低下させるかもしれないという先行研究がありました。
■ そこで、この多施設共同研究で、アセトアミノフェンがイブプロフェンより悪化させるか否かを確認することになったようです。
P: 施設で参加した軽症持続型喘息患者300名(月齢12-59ヶ月)
E: アセトアミノフェン投与群150例 必要に応じ6時間毎に15mg/kg/回 C: イブプロフェン投与群150例 必要に応じ6時間毎に9.4mg/kg/回 O: 48週間のステロイド全身投与を必要とした喘息増悪回数 |
結果
■ 試験薬物を中央値5.5回(四分位1.0~15.0回)服用したが、 二群間で有意差は認められなかった(p=0.47)。
■ 46週間の追跡調査では、参加者一人につき、アセトアミノフェン群で平均0.81回、イブプロフェン群で0.87回の喘息発作があったが、有意差は認められなかった(アセトアミノフェン群対イブプロフェン群で、相対増悪率0.94; 95%信頼区間、0.69~1.28; P=0.67)。
■ アセトアミノフェン群の49%の参加者は少なくとも1回、21%は少なくとも2回の喘息増悪が認められ、イブプロフェン群ではそれぞれ47%、24%の増悪だった。
■ 同様に、アセトアミノフェンとイブプロフェン群において、喘息が安定していた日(それぞれ85.8%、86.8%; P=0.50)、アルブテロール吸入の使用(週当たりそれぞれ2.8回、3.0回; P=0.69)、喘息のための予定外受診(1参加者につきそれぞれ、0.75回、0.76回; P=0.94)であり、有意差はなかった。
コメント
■ 軽症持続型喘息児における必要に応じたアセトアミノフェンの使用は、イブプロフェンの使用に比較し、喘息増悪や喘息コントロールを悪化させなかったとまとめられます。
■ ただし、軽症持続型喘息の評価は、本邦のガイドラインと海外のガイドラインでずれがあることに注意が必要です(海外の軽症持続型は本邦では中等症持続型レベルになります)。