
SABAやLABAの単独使用は、喘息発作予防にすすめられないが、吸入ステロイド+SABAの合剤であればどうか?
■ 短時間作動性ベータ刺激薬(SABA)の”単独の”濫用は、喘息死を増加させる可能性があります。
■ 一方で、吸入ステロイド薬単独+SABAによるレスキュー使用と、吸入ステロイド薬と長時間作動性ベータ刺激薬(LABA)の合剤シムビコートの比較試験では、シムビコートのほうが喘息発作を有意に減少させることが示されています( Hatter L, Bruce P, Braithwaite I, Holliday M, Fingleton J, Weatherall M, et al. ICS-formoterol reliever versus ICS and short-acting β2-agonist reliever in asthma: a systematic review and meta-analysis. ERJ open research 2021; 7.)。
■ 最近、NEJMに、吸入ステロイド薬とSABA(アロブテロール;商品名サルタノール)の合剤の大規模試験が報告されていましたので共有します。
■ 永田真先生にコメントを頂きましたので追記いたします。ありがとうございます!
患者さんが「発作どめ」気管支拡張薬を吸う時って、気管支が狭まってると同時に…
— 永田真(アレルギー専門医、埼玉医大アレルギーセンター長) (@hLwXQg0jnN0tXf0) May 29, 2022
⤵︎アレルゲン吸っての場合では、IL-4/5/13など2型サイトカイン産生が誘導され、炎症悪化が始まります💦
ステロイドを同時に吸うことで、早期にこの炎症進展が抑えられ、結果、喘息増悪を阻止しやすくなるのですネ❣️ https://t.co/bcNkkv6X5S pic.twitter.com/WV2qtvD5nU
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
吸入ステロイドを含む維持療法を受けている12歳以上のコントロール不良の中等症~重症喘息患者計3132人の患者を、アルブテロール180μgとブデソニド160μgの固定した量の合剤投与群、アルブテロール180μgとブデソニド80μgの固定した量の合剤投与群、アルブテロール180μg投与群にランダム化し、重症喘息発作イベントリスクを評価したところ、
✅ 重症喘息発作イベントのリスクは,高用量併用群のほうがアルブテロール単独群よりも26%有意に低かった(ハザード比,0.74;95%信頼区間[CI]0.62 ~ 0.89;P=0.001 ).
✅ 低用量併用群のハザード比は、アルブテロール単独群と比較して 0.84(95% CI 0.71~1.00; P=0.052)だった。