
テゼペルマブとネコ免疫療法の併用療法。
■ ペットアレルギーに関しては、現在のところ、実用化されて使用できる免疫療法はないとお話しています。
■ そのようななかで、ネコ免疫療法の効果が、抗TSLP抗体であるテゼペルマブ(テゼスパイア)を併用すると効果が上がるかもしれないという報告が総合アレルギー講習会で紹介されていましたので共有します。
※まだ保険適用として使用できる治療法ではありません。
Corren J, Larson D, Altman MC, Segnitz RM, Avila PC, Greenberger PA, et al. Effects of combination treatment with tezepelumab and allergen immunotherapy on nasal responses to allergen: A randomized controlled trial. J Allergy Clin Immunol 2023; 151:192-201.
ネコアレルギー患者121名を、テゼペルマブ静注+ネコ皮下免疫療法、ネコ皮下免疫療法単独、テゼペルマブ単独、またはプラセボのいずれかを52週間投与し有効性を比較した。
背景
■ 胸腺間質リンホポエチン(Thymic stromal lymphopoietin ; TSLP)は、アレルギー反応の開始と持続に中心的な役割を果たすことが明らかにされている。
目的
■ アレルギー性鼻炎患者において、ヒトモノクローナル抗TSLP抗体であるテゼペルマブが皮下アレルゲン免疫療法(subcutaneous allergen immunotherapy; SCIT)の有効性を改善し、耐性の発現を促進するかどうかを検討した。
方法
■ ネコアレルギー患者を対象に、二重盲検並行群間デザイン試験を実施した。
■ 計121名の患者を、テゼペルマブ静注+ネコ皮下SCIT、ネコ皮下SCIT単独、テゼペルマブ単独、またはプラセボのいずれかを52週間投与し、その後52週間の観察を行うことにランダム化した。
■ 試験期間中、鼻アレルゲン負荷試験(Nasal allergen challenge; NAC)、皮膚テスト、血液・鼻腔サンプルの採取が行われた。
結果
■ 52週目において、テゼペルマブ/SCITを投与された患者では、SCIT単独投与と比較して、NAC誘発の鼻症状総スコア(TNSS)(曲線下面積[AUC0-1h]およびNAC後1時間のピークスコア[Peak0-1h]として算出)が有意に減少した。
■ 治療中止から1年後の104週目では、主要評価項目であるTNSS AUC0-1hはSCIT単剤と比較してテゼペルマブ/SCIT群で有意差はなかったが、TNSS Peak0-1hはSCITに対して併用療法を受けている患者で有意に低かった。
■ 鼻腔上皮サンプルのトランスクリプトーム解析により、SCIT/テゼペルマブ併用療法は、単剤療法とは異なり、2型炎症に関連する遺伝子ネットワークの持続的なダウンレギュレーションを引き起こし、NAC反応の改善と関連していることが示された。
結論
■ TSLPの阻害は、治療中のSCITの有効性を増強し、1年間の治療コース後の耐性を促進する可能性がある。(ClinicalTrials.gov NCT02237196)。
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