卵・乳アレルギー児の偶発的・意図的な摂取によるアレルギー反応: コホート研究

Fleischer DM, et al. Allergic reactions to foods in preschool-aged children in a prospective observational food allergy study. Pediatrics 2012; 130:e25-32.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22732173

 


昨日UPさせていただいたピーナッツ除去食中の誤食に関する報告に引き続き、2012年の報告ですが、卵、乳アレルギー児の誤食などによるアレルギー症状の発生頻度に関する研究結果です。

除去食中の誤食は頻繁に起こっており、不十分な治療を受けている: コホート試験


 

P: 5施設でリクルートされた、乳もしくは卵アレルギーの3~15ヵ月児512人

E: -

C: -

O: 中央値36か月(0-48.4か月)の追跡期間中、1年間に発生する誤食によるアレルギー反応発生率

 

 

結果

512人中367人の参加者が、1年当たり0.81回(1171回[95%信頼区間:0.76-0.85])のアレルギー反応を報告し、そのうち269/512人(52.5%)は〉1回の反応だった。

大多数の反応(71.2%)は、乳(495回[42.3%])、卵(246回[21.0%])、ピーナッツ(93回[7.9%])であり、誤食、ラベルの読み間違い、コンタミネーションにより発生し、50.6%は両親以外によって提供された食品によった。

乳、卵、ピーナッツに対する834回のアレルギー反応のうち、93回(11.2%)は除去中の食品に対する意図的な摂取に起因しており、その場合は両親が最も多い提供者(87.1%)であり、祖父母(9.7%)、その他(3.2%)が続いた。

意図的な摂取は、偶発的な摂取と比較し、ピーナッツより乳(P = .03)や卵(P = .01)で多く起こっていた。

食物アレルギーと特異的IgE抗体価高値は、アレルギー反応と関係しており(P < .0001)、重篤な反応 134例(11.4%)のうち、29.9%の例に対し、アドレナリンが使用された。

十分な治療が行われないことに対するリスク因子は、重症度に対する認識不足、アドレナリンが利用できなかった、アドレナリンの投与に対する恐れが挙げられた。

 

コメント

偶発的・意図的な食物曝露に起因する反応は少なくなく、アレルギー反応は1年あたり0.81回に及び、強い症状に対するアドレナリンの使用は不十分だったとまとめられます。なお、”意図的な”は原文では”非偶発的な”になっていますが、意図的なに訳しました。

本論文の中で、重篤な反応に対するアドレナリンの使用が不足していることが問題視されており、一定の警戒、正確にラベルを読むこと、意図的な曝露の回避、提供ミスの予防、適切なアドレナリン投与、保護者の教育といった必要性が指摘されていました。

最近、海外では、マイラン社によるアドレナリン自己注射薬(商品名エピペン)の薬価釣り上げが問題になっているとの報道がありました。本邦ではマイラン社ではなくファイザー社で管理されていてますが、本邦の薬価制度のお陰もあり、当初決められた薬価で処方されており、現在のところ薬価の釣り上げはされていません。

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