加熱した卵黄つなぎで負荷試験をおこなったときの陽性率と安全性は?

加熱卵黄つなぎ(卵白が微量混入)が摂取できれば、日常生活がずいぶん楽になります。その負荷試験の結果。

■ 食物経口負荷試験(OFC)はリスクも伴いますので事前の予測が検討されており、これまでも2種類の検査法による卵負荷試験の陽性予測や、総IgE値は少量食物負荷における食物アレルギーの陽性予測に役立つなどをご紹介してきました。

■ 一方で、負荷試験は、診断のための負荷試験から、少量を摂取しても問題ないかどうかなど多様化しており、少量摂取可能かどうかを確認する方法の一つとして卵黄つなぎによる負荷試験があります。

■ 今回ご紹介するのは、加熱卵黄負荷試験を多数の患者さんで検討した、国立病院機構相模原病院からの報告です。

 

P: 2008年3月から2013年3月に国立病院機構相模原病院で行われた、加熱卵黄の経口食物負荷試験 (Oral Food Challenge; OFCs)を受けた小児919人
E: 卵黄1個を使用した加熱カボチャケーキ経口負荷試験
C: -
O: 卵黄経口負荷試験結果と、特異的IgE抗体価(卵白・オボムコイド・卵黄)の関連

 

 

Yanagida N, et al. Safety and feasibility of heated egg yolk challenge for children with egg allergies. Pediatric Allergy and  Immunology 2017 [Epub ahead of print]

結果

 加熱卵黄による経口食物負荷試験 (OFC)は、加熱調理されたカボチャケーキで行われた。

 カボチャケーキは、全卵から用手的に分離された生卵黄を使用して準備されたため、卵白の微量量が含有されていた。

 カボチャケーキは、電子レンジ(1,000Wで90秒間;中心温度90°C)で加熱して作成され、卵タンパク質を計213.2mg(卵1/29個相当)含有していた(FASTKIT ELISA Version III Egg[NH Foods社]で測定)。

 卵黄負荷試験陽性は17.0%であり、7%が重篤な症状を来たした

 より高い年齢、オボムコイド特異的IgE抗体価高値、総IgE抗体価低値、卵以外の食物に関連したアナフィラキシー既往歴は、OFC陽性の危険因子だった。

 OFCの95%陰性予測値は、卵白0.71kUA/L、オボムコイド0.41kUA/L、卵黄0.17kUA/Lだった。

 オボムコイド特異的IgE抗体価100kUA/Lの場合、加熱卵黄負荷試験陽性は38.3%だった。

 OFC陰性であった763人は、家庭での卵黄摂取で7人(0.9%)で陽性反応を示したが、756人(99.1%)は問題なく卵黄を摂取できた。

 

最大のメリットは、負荷試験のリスクを軽減した上で、卵黄をつなぎとして日常の食生活に活用できることにあるでしょう。

 加熱卵黄OFCは、まれに重篤な症状を惹起するが、卵アレルギー児におけるQOLを改善するため、推奨できる可能性があると結論されていました。

 この負荷試験の最大のメリットは、負荷試験のリスクを軽減した上で、卵黄をつなぎとして日常の食生活に活用できることにあるでしょう。

 もちろん卵黄が摂取できても集団での解除は難しいのですが、卵料理や加工品の多くは卵の凝固する性質を利用したものですから、例えば家族で一緒のハンバーグなどを食べることが出来るだけでも大きな変化と思います。

 また、日常的に卵黄つなぎを摂取することで、卵そのものの摂取も可能になってくる可能性もあります。

 その意味からも、意義のある研究結果と言えると思います。

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