ナッツ類のアナフィラキシーは、どれが多い?

ナッツアレルギーは増えている。

 本邦においても、徐々にピーナッツ・ナッツ類アレルギーは増えてきており、問題となりつつあります。

 ピーナッツアレルギーと他のナッツ類やマメ類の交差性に関して、いくつかのタイプにわかれることを最近ご紹介いたしました。

ピーナッツアレルギーと他のナッツ類やマメ類の交差性には、どのような特徴があるか?

 しかし、まだデータは少なく、地政学的に近い韓国からの報告がありましたのでご紹介いたします。

 

P: 韓国(2009-2013年)の14の大学病院に、ピーナッツ(PN)もしくは木の実類(TNs)によるアナフィラキシーとして受診した19歳未満の小児126人(平均4.9歳)
E: -
C: -
O: 韓国におけるピーナッツ(PN)と木の実類(TNs)に対するアナフィラキシーの臨床的特徴

 

結局、何を知りたい?

✅ピーナッツやナッツ類のアナフィラキシーの特徴を知りたい。

 

 

小児のナッツ類のアナフィラキシーに関し、後方視的に集めて検討した。

 レトロスペクティブにカルテから情報が集められた。
 アナフィラキシーの総症例数は991例であり、126例がピーナッツ(PN)、木の実類(TNs)、種子類に起因していた。
 平均年齢は4.9歳(範囲0.8-18.9歳)であり、男児が64.3%だった。
 アナフィラキシーの原因として、PN、クルミ(walnut; WN)、アーモンド、ヘイゼルナッツ、松の実、カシューナッツ、ピスタチオ、ペカン、マカダミアナッツ、シソの種、ヒマワリの種、ゴマの種が確認された。

 アナフィラキシーの原因として、PN 32.5%、WN 41.3%、松の実 7.1%であり、特異的IgE(sIgE)の中央値は、PN 10.50 kUA/l、WN 8.74 kUA/l、松の実 4.61 kUA/lであった。
 PNアナフィラキシー症例の58パーセントはPN特異的IgE抗体価 14.0kUA/l未満であり、PN-sIgEレベルは最低0.39kUA/lだった。
 救急治療部で治療された50例において、アドレナリン52.0%、ステロイド66.0%、抗ヒスタミン剤94.0%、酸素36.0%、気管支拡張剤48.0%が使用されていた。

 

結局、何がわかった?

✅韓国における平均約5歳のピーナッツ・ナッツ類アナフィラキシーで、クルミが約4割、ピーナッツが約3割、松の実が1割弱だった。

✅ピーナッツアレルギーが多いとされる特異的IgE抗体価14kUA/l未満が半数以上であり、とても低い児もいた。

 

 

韓国におけるナッツアナフィラキシーは、クルミ・ピーナッツ・松の実が多かった。

 韓国の小児において、クルミ、ピーナッツ、松の実がアナフィラキシーの最も一般的な原因であり、特異的IgE抗体価が低くてもアナフィラキシーが起こっていたとまとめられます。

 本邦で、松の実でそんなにアナフィラキシーを起こしている印象はありませんが、クルミは確かに多い印象があります。

 一方で、本邦ではピーナッツ特異的IgE抗体価以外に、ピーナッツコンポーネントであるAra h2特異的抗体価が保険適応として検査可能になっており、臨床に使われるようになっています。

 

今日のまとめ

韓国の小児において、クルミ、ピーナッツ、松の実がアナフィラキシーの原因として多いことが判明したが、本邦でも多施設におけるデータが必要とされている。

 

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